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イカサマ
こんにちは、工務課の森です。

トランプで爺さんとよく遊んだ‥
爺さんには、たくさんの私たち孫がいた。
小学生を相手にポーカーを教えてくれた。
正月になると、お年玉を持っている子供達はこっちに来いという。
ポーカーをして、わしに勝てばお年玉が増える、負ければ減るという‥、
大人の話をしてくるのだ。
本当にお年玉を賭けることはないが、子供ながらにドキドキしたの覚えている。
イカれた爺さんだが楽しかった。
爺さんにはなかなか勝てなかった‥
が‥
爺さんの座っていた座布団の下から、余分なガードが出てくる。
私は「イカサマ」という言葉をこの時に覚えた。
爺さんが私たち孫に話す戦争の話がある。
みんなそれぞれ聞かされていた‥
部下を従え野原を行進中、隊をめがけて一機の敵戦闘機が向かってきた。
空からの機関銃で全員やられてしまった。
気がつくと爺さんひとり・・
爺さんも腹に弾丸を受けてうまく動けない‥
武器も使い果たしていた‥
諦めかけた時、近くに仲間のライルフルが落ちていた。
なんとか手にすると、弾が一発ある。
すると、また戦闘機が向かって来ている‥、、
爺さんはすでに、ライフルを構える力もない。
たまたま側に生えていた木の枝に銃口を預けた。
機関銃を乱射して再び向かってくる戦闘機‥
爺さんはもうだめだと目をつむり‥、
『南無三』と叫んだ。
最後の力を指先に込め‥、
引き金を引いた‥
なんと、、、
その一発の弾が命中し、その一発で戦闘機が墜落したというのだ。
そして自分だけ助かったという‥
とんでもない話だ。
そして腹にはまだその時の弾が残っていると言う。
風呂に入ると腹にある傷跡を見せられた。
ドキドキして聞いたのを覚えてる。
私たち孫が大人になった頃、爺さんは死んだ。
最後のお別れで骨を拾う時、私たちは自然と戦争の話を思い出し「弾」を探した。
孫たちを最後まで、楽しませてくれた‥。
母から聞かされた、
腹の傷は盲腸の傷跡だと‥。


