COLUMN
家づくりコラム
【家づくりの豆知識】Wi-Fiだけで本当に大丈夫?家づくりで後悔しないLAN配線のススメ
こんにちは、太陽ハウジングです。
今や生活のほとんどがインターネットとつながる時代。
テレワーク、動画、ゲーム、スマート家電…どれも通信の安定さが暮らしの快適さを大きく左右します。
そんな中で、家づくりの段階からぜひ考えておきたいのが LAN配線(有線LAN) の計画です。
結論から言うと、新築時には「CAT6A以上のLANケーブル」または「CD管(配線保護管)」を入れておくことが、10年先の後悔をなくすコツです。
Wi-Fi(無線LAN)が普及したことで、配線のことを意識することは少なくなりましたが、実は家を建てるときこそ「LANケーブル(有線LAN)」を計画しておくと安心なんです。
なぜなら、「通信環境も家の性能のひとつ」だからです。
今の子どもたちは、いわばWi-Fiネイティブ世代。
スマホやタブレットはもちろん、ゲーム機もテレビも、全部ワイヤレスで完結します。
だからこそ、「有線でつなぐメリット」を知らない方も多いかもしれません。
今回のコラムでは、見えないけれど暮らしを支える大切な設備「LAN配線の基礎知識」と、家づくりで後悔しないためのポイントを、分かりやすくご紹介します。

■Wi-Fiだけに頼ると起きがちな「家庭のあるある」
「うちはWi-Fiがあれば十分かな…」
そう思っていても、実際に暮らし始めると想像以上に通信ストレスが出てくることがあります。
しかもその多くは、家のつくりや電波の特性によるもの。こんな経験、ありませんか?
・オンライン会議だけなぜか固まる
・テレビの動画アプリがクルクルする
・子どものゲームが突然ラグって不機嫌になる
・2階に行くとWi-Fiが急に弱い
・ルーターの位置を変えても改善しない
これらはすべて、Wi-Fiが持つ「距離の弱さ」「壁や床の遮り」「他の電波との干渉」が原因。
便利だからこそ頼りすぎてしまうWi-Fiですが、万能ではありません。

■Wi-Fiだけで十分? 有線LANの意外なメリット
そんなときに頼りになるのが有線LANです。
・オンライン会議が安定する
・動画視聴が止まりにくい
・オンラインゲームの遅延がほぼない
・外部からの「タダ乗り」リスクが少ない
オンライン会議や高画質の動画視聴、オンラインゲームをされる方には特におすすめ。「つながらない」「止まる」といったストレスがぐっと減り、快適に過ごせるようになります。
さらに、Wi-Fiは便利ですが、設定によっては外部から「タダ乗り」されるリスクも。
その点、有線LANは物理的にケーブルで直結するため、外部からアクセスされにくく、情報漏えいの心配もぐっと減ります。安全性・速度・セキュリティ面でも圧倒的に有利といえます。
■LANケーブルには「種類」がある
LANケーブルには「カテゴリー(CAT)」と呼ばれる規格があります。

数字が大きいほど「通信速度」と「伝送帯域(=データ量)」が広がり、より高速で安定します。
通信速度とは、データを1秒間に送信できるスピードのこと。
伝送帯域とは、1秒間に送信できるデータの量を表します。
それぞれのカテゴリでは、通信速度と伝送帯域が異なります。
イメージしやすいように、車に例えてみますね。
通信速度は「車のスピード」、伝送帯域は「道路の車線の数」です。
車が速く走れて、しかも車線が多ければ、一度にたくさんの車(=データ)をスムーズに運べますよね。
「CAT6」と「CAT6A」を比べると、CAT6は通信速度1Gbps、CAT6Aは10Gbpsで約10倍の速さ。さらに、伝送帯域もCAT6の250MHzに対して、CAT6Aは500MHzと約2倍の広さがあります。
つまりCAT6Aは、速くて広い新東名高速道路のようなもの。
動画のストリーミングやオンラインゲームなど、データ量の多い通信でも渋滞しにくく、快適に使えるというわけです。
また、いま主流の光回線は、1Gbps~10Gbpsクラス。
せっかく高速回線を契約しても、ケーブルが古いままだと、その性能を十分に発揮できません。
例えば、10Gbpsの光回線を契約して、高画質で大容量の動画コンテンツを楽しんだり、オンラインゲームを快適にプレイしよう思っていても、古い「カテゴリ5」ケーブルでは最大速度のわずか1%程度しか出ません。「カテゴリ6」でも約10%程度にとどまり、回線の速さを活かしきれないのです。
だからこそ、新築時には最低でも「CAT6」、可能であれば「CAT6A」を選んでおくのがおすすめです。動画配信やオンライン会議をよく利用するご家庭なら、少し先の安心を見越して「CAT6A以上」にしておくと、長く快適に使えます。

■5G・Wi-Fi 6・10G光…高速通信時代に“ケーブルが落とし穴”になることも
5G通信やWi-Fi 6が普及し、自宅でも10Gbpsクラスの高速インターネットが当たり前になる時代が来ています。
しかし、LANケーブルが古いCAT5やCAT6のままだと、回線速度をフルに発揮できません。せっかく10Gbpsの光回線を契約しても、ケーブルが1Gbpsまでしか対応していなければ、高速回線も“宝の持ち腐れ”になってしまうのです。
これからの住宅では、LANケーブルも10G対応が必須です。
今後10年以上快適に使うなら、新築時に「CAT6A以上」を選んでおくと、将来の通信環境にも柔軟に対応できます。

■新築時にLANを仕込むなら、ここをチェック!
LANケーブルは「弱電」と呼ばれる低電圧の設備にあたり、照明やコンセント(強電)とは別の扱いになります。
そのため、電気の打合せ時には「LAN配線もお願いします」だけでなく、必ず「CD管(配線用の保護管)を通して配線してください」と伝えるのがポイントです。
※CD管(シーディーかん)とは、LANケーブルなどを通すための保護用の配管のこと。これを使っておくことで、将来ケーブル規格が変わっても、入れ替えるだけで対応が可能になります。
一般的な住宅では16mmのCD管が使われますが、CAT7などの太いケーブルを想定するなら、22mm以上にしておくと安心。
壁の中に直接ケーブルを埋め込んでしまうと、後から交換が難しくなるため、将来の通信規格の進化に備えて、配線の通り道を確保しておくことが何より大切です。
■「単線」と「より線」の違いも知っておこう
LANケーブルには2種類あります。
単線:硬くて曲げにくいが、長距離でも安定。10m以上の配線におすすめ。
より線:柔らかく施工しやすいが、長距離には不向き。短距離や機器の接続用に。
新築時に壁内へ配線を仕込む場合は、基本は「単線タイプ」を選びましょう。
■どこにLANを引く?おすすめの設置場所
家族の暮らし方に合わせて、LANポートを設ける場所を考えておきましょう。
Wi-Fiだけでも十分と思われがちですが、LAN接続のほうが通信が安定しやすく、速度低下も少ないのが特長。特に動画視聴やテレワークなど、通信量が多い用途にはLAN接続が安心です。
【設置場所の例】
・リビング(テレビ・Wi-Fiルーター付近)
・書斎・ワークスペース(テレワーク用)
・子ども部屋(学習・ゲーム機用)
・2階ホール(Wi-Fi中継機・スマート家電用)
・玄関・防犯カメラ周辺(IoT機器・見守りカメラ対応)
「とりあえずリビングだけ」ではなく、家族それぞれがネットを使う場面をイメージして配線しておくのがおすすめです。将来的に使う可能性がある部屋にも、あらかじめLANを引いておけば、後からの工事が不要になり、見た目もスッキリします。

■これからの家は「通信設計」も大事な時代へ
Wi-Fiが便利なのは確かですが、有線LANは「安定・安心・長く快適」に暮らすための土台。これからの暮らしは、AIやスマート家電、クラウドサービス、ホームセキュリティなど、あらゆるものがインターネットでつながります。
Wi-Fiだけでも暮らせますが、より快適で高品質な通信を確保する家づくりが、これからのスタンダード。
新築やリフォームをお考えの方は、このタイミングでしかきれいに・安く・確実に 配線工事はできません。
ぜひLAN配線の計画も家づくりの一部として検討してみてください。
太陽ハウジングでは、間取りづくりの段階から通信環境の設計のご相談も承っています。
「どの部屋にLANを引くべき?」「将来のスマート家電に備えたい」など、お気軽にご相談ください。設計担当がご家族の暮らしに合わせてご提案します。
家族みんながストレスなくつながる快適な暮らし。
それを支えるのが、見えない通信設計です。
これからの家づくりの新しいスタンダードを、ぜひ一緒に考えていきましょう。

