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2023.07.20

家づくりコラム

断熱性能を上げるばかりでは良い家はできない!?①

 

こんにちは、太陽ハウジングです。

 

過去のコラムでも断熱性能を説明してきましたが、

「断熱性能を上げれば良い家になるのでは?」と思われている方も多いと思いますが、実は他にも注意していただきたい点があります。

 

そこで今回から断熱性能と熱源についてのコラムを、前後編でお届けします。

 

■23年ぶりに断熱性能の等級が見直しに

2023年の初めからUA値や断熱性能のこと、断熱の種類など重要性を解説してきました。

なぜこのタイミングでご紹介してきたかというと、これまで断熱の最高等級は1999年に制定された断熱の等級4でしたが、2022年4月には最高等級5になり、2022年10月には最高等級7まで引き上げになったという背景があります。

 

断熱性能は、実に23年ぶりに進化する過渡期のため、家づくりで後悔しないように断熱性能について解説してきました。

 

 

■住宅を水筒の仕組みから考える

では、なぜ「断熱性能を上げるばかりでは良い家はできない」というご説明をしたいと、どんなに断熱性能の良い家にしても室内に冷暖房などの熱源がないと夏は涼しく冬は暖かい家にならないからです。

 

住宅の断熱性能と水筒の仕組みは似ています。例えば、常温の水を水筒に入れても冷たくなったり暖かくなることはありません。冷たい水を入れれば冷たさは維持され、温かい水を入れれば保温されます。水筒単体では機能せず、熱源があって水筒という機能は発揮されます。

 

実は住宅も水筒と同じように考えられます。いくら断熱性能が良くても熱源がなければ効果は発揮しないのです。

 

断熱性能を上げるばかりでは良い家はできないというのは、断熱性能を上げるだけで満足するのではなく、熱源を確保するのかを考えないと快適な空間は作れないといえるでしょう。

 

■熱源とは何か?

熱源とは「日差し」と「エアコン」です。

 

まずは1つめの「日差しとの上手な付き合い方」については「窓」が重要になってきます。

 

窓に対する考え方を正しく知ったうえで日差しと付き合っていくことが大切です。とても重要な部分ですが、あまり窓を重要視していないという方も多いのではないでしょうか。

 

窓の目的として、①採光、②眺望、③日射熱、④換気、⑤出入りの5つがあります。

 

④換気は、24時間換気を行ってくれます。また、⑤出入りは庭とバルコニーの出入りですが、近年では土地価格の上昇で「庭をつくらない」という方や、バルコニー自体なくす方が多く限定的かもしれません。

 

今の時代の窓の目的は、①採光、②眺望、③日射熱の3つになってきます。

 

ただ、日本は風通しを良いとする文化が根強く残っており、窓を換気目的で提案する人が多いかもしれません。家づくりでは風が抜けるようにしないと湿気が抜けない、湿気が抜けないとカビが発生してしまうという考えから風が抜けるように窓を配置することがあります。

 

実際に既に建っている家や打合せ中のプランも風が抜けるように配置されているかもしれません。しかし今は24時間換気システムが存在するので窓を開けて換気しないといけないということはありません。

 

■1年のうち窓を開けられる時期を考える

少しイメージしてみてください。太陽ハウジングのある三河エリアは、高温多湿な環境のため窓を開けて外の空気が気持ちいいと感じる期間はどれだけあるでしょうか?

 

3月~5月は花粉が飛びますので家族で1人でも花粉症の人がいたら窓は開けられないかもしれません。また、黄砂のある時期なんて特に窓を開けないですよね。

 

6月は梅雨時期なので、換気目的で窓を開けたら室内の湿度が急上昇なんてこともあると思います。7月~9月は気温も高く湿度もあるため室内でエアコンを使って過ごすことが多いのではないでしょうか。

 

10月は天気が良ければ窓を開けて換気ができるかなと思います。11月~2月は寒く乾燥した空気を窓を開けて取り込もうとする人は少ないかもしれません。

 

このように考えて行くと、窓を開けて換気ができる期間は、10月と花粉と黄砂が落ち着いた5月だけで1年のうち10か月は窓を開けて換気する頻度が少ないわけです。

 

このような事実があるにも関わらず、風通しのために窓をつけるかどうか。一度慎重に検討してみた方が良いでしょう。(窓を開けて風通しをコントロールする考え方は、昭和のなごりがあるのかもしれません。令和の時代に合った家づくりを考えてみましょう。)

 

家づくりをしている方は提案されているプランの窓の目的が、①採光②、眺望、③日射、④換気、⑤出入りのどれに該当するか確認しても良いと思います。もし④換気が目的の窓が入っていたら、考え直しても良いかもしれません。

 

 

■「日射」とは?

窓の目的の中で「③日射」は少し聞きなじみがないかもしれません。そこで日射について説明しておきます。

 

日射とは太陽から受け取るエネルギーです。分かりやすく言うと「日差し」や「日当たり」になります。

 

太陽の日差しは室内だけでなく構造躯体を含めた家全体を暖めます。冬場は家全体が冷え切っているためエアコンをつけても温まらず寒いということになります。

 

 

■日射を効率良く取得するためのポイント

太陽エネルギーである日射を効果的・効率的に取得するために窓をつけるポイントを紹介します。

 

ポイントは①南側の窓を大きくして東西北側の窓を小さくする、②南側の窓を断熱タイプ東西北側の窓を遮熱タイプにするの2つです。

 

①南側の窓を大きくして東西北側の窓を小さくする

まず①は、風通しという目的がないのであれば、「東西北の窓自体設置する必要がないor数を減らす」という考え方です。

 

夏場の西日の日差しは強く家の中が暑くなりやすく、断熱性能が良い家は水筒のように保温力があります。西日により暖まった室内はそれだけでエアコンの効きが悪くなります。また冬場の場合は窓を設置するだけで断熱性能が落ちます。

 

よく使われる窓に樹脂サッシペアガラス、アルミ樹脂複合サッシペアガラスがあります。サッシメーカーから熱貫流率と熱抵抗値を出していますが、壁の断熱と比べると樹脂サッシペアガラスもアルミ樹脂複合サッシペアガラスも約80%断熱性能が下がります。

 

性能が良いとされる樹脂サッシのトリプルガラスでさえ、約60%断熱性能が下がります。窓の性能を上げても壁の断熱性能には勝てないため、窓は付ければ付けるだけ家の断熱性能が落ちてしまい、冬場は家の中が寒くなりやすくなります。

 

夏場は家の中が暑くなりやすいので、南側の窓のみ大きくして東西北の窓はできるだけ小さくするとこが重要です。

 

②南側の窓を断熱タイプ東西北側の窓を遮熱タイプにする

窓には断熱タイプと遮熱タイプがあります。断熱タイプは日射熱(日差し)を取り入れやすい反面、室内からの熱損失が大きい特徴があり、遮熱タイプは日射熱を抑制し室内からの熱損失が少ない特徴があります。

 

この2つのタイプの特性を活かして窓を配置するようにしましょう。日射熱を取得したい南の窓には断熱タイプ。日射熱を抑制したい東西北の窓には遮熱タイプ。それぞれ使い分けて設置する必要があります。

 

断熱性能を上げたのに思ったより暑かったり、エアコンが効きにくいなんてことのないようにすることが大切です。窓を設置する上で気を付けることは、①南側の窓を大きくして東西北側の窓を小さくする②南側の窓を断熱タイプ東西北側の窓を遮熱タイプにする。この2つです。

■隙間の少ない窓とは?

窓を設置するポイントとして「引き違い窓」は隙間が多いということを覚えておきましょう。窓のレール部分は完全密閉されておらず隙間があるため、その隙間から空気が入ってきます。

 

具体的な対策として縦横の滑り出し窓やFIX窓などを意識して窓選びをすることです。ただ、お庭やウッドデッキ、テラスに出る際は、引き違い窓にする必要が出てきます。そこは致し方のない部分になりますが、大きなFIX窓にテラスドアを組み合わせることで代わりにすることができます。

 

「断熱性能を上げるばかりでは良い家はできない①」では、窓をテーマに説明してきました。窓の設置の仕方や種類が重要ということをご理解いただけましたでしょうか?

 

きちんと理解した上でプランなどの提案を受けつつ、注意しながら家づくりを進めていただけたらと思います。

 

次回の「断熱性能を上げるばかりでは良い家はできない!?②」では、日射取得と日射遮蔽の重要性について説明していきたいと思います。