COLUMN
家づくりコラム
家も「残クレ」の時代?残価設定型住宅ローンの仕組み・メリット・注意点を解説
こんにちは、太陽ハウジングです。
ここ数年、住宅を取り巻く環境は大きく変わりました。
住宅価格の上昇に加え、金利もじわじわと上がり始めたいま、「家を買う」という選択そのものにハードルの高さを感じている方は少なくありません。
特に、立地や住環境を妥協したくない方ほど、「理想の家」と「現実の返済額」のギャップに悩みがちです。
「この家、いいな」と思っても、月々の返済額を見た瞬間に現実に引き戻される。
そんな経験をされた方も多いのではないでしょうか。
そんな中、この状況を少し違った角度から変えようとする、新しい住宅ローンの仕組みが2026年に本格化する見込みです。
それが「残価設定型住宅ローン」です。
今回の家づくりコラムでは、制度の仕組み・メリットと注意点、そしてどんな人に向いているのかを整理します。
まだ詳細がすべて確定しているわけではありませんが、現時点で分かっている情報をもとに、冷静に見ていきましょう。

■そもそも「残価設定型住宅ローン」とは?
残価設定型住宅ローンとは、将来の家の価値、いわゆる「残価」をあらかじめ設定し、その分を除いた金額だけを返済していく住宅ローンです。
これまでの住宅ローンは、土地や家の価格すべてを完済する前提でした。
一方で残価設定型では、「最後まで払い切る」ことを必ずしも前提にしません。
将来の価値を見込んで一部を据え置くことで、月々の返済負担を軽くし、住宅取得のハードルを下げる。そこにこのローンの大きな特徴があります。
この仕組みは、車の購入でよく知られている「残クレ(残価設定クレジット)」と非常に近いものです。
例えば、5,000万円の住宅に対して、将来2,000万円の価値が残ると設定した場合、実際に返済するのは残りの3,000万円分になります。
その分、毎月の支払いは通常の住宅ローンより抑えられ、家計に余裕が生まれやすくなります。
■残価設定型住宅ローンの注意点
魅力的な仕組みである一方、内容を正しく理解したうえで選ぶことがとても大切です。
このローンを理解するうえで、最も重要なのはここです。
「長く住んだからといって、その家が必ず自分や家族の資産として残るわけではない」
残価設定型住宅ローンでは、契約の終わりに「残価」をどう扱うかが重要になります。
基本的には、住み替えや契約者の死亡といったタイミングで住宅を売却し、その売却代金で残価を清算する流れが想定されています。
仮に売却価格が当初想定していた残価を下回ったとしても、その差額は契約者や家族に請求されません。国が支援する保険制度によって、このリスクはカバーされる予定です。
一方でこれは、「家を子どもに残す資産として持つ」という考え方とは相性が良くない制度でもあります。
残価設定型住宅ローンは、住宅を代々受け継ぐ資産ではなく、「一代で快適に使い切る住まい」として考える人向けの制度になります。
■実は過去にも存在。でも今回は国が本気
残価設定型の住宅ローン自体は、移住・住みかえ支援機構(JTI)が提供していました。
しかし従来の制度では、当初の月々の支払いがそれほど軽くならず、利用するメリットが実感しにくかったため、あまり普及しませんでした。
今回の制度が大きく異なるのは、車の残クレと同じように「最初から支払いを軽くする」ことを重視している点です。
さらに、住宅金融支援機構が新たな保険制度を創設し、将来の残価回収リスクを引き受ける仕組みが整えられています。
国が予算を投じてまでこの制度を後押ししていることからも、「多少のリスクを負ってでも、この仕組みを広げたい」という国の「本気度」が、うかがえます。
政府の戦略は、ローンを直接提供することではなく、市場そのものを創り出すことにあります。
具体的には、住宅金融支援機構(JHF)が「特定残価設定ローン保険」という新しい保険制度を創設します。これは、将来の住宅価格が想定残価を下回った場合のリスクを保険でカバーし、民間金融機関が安心してこのローンを提供できるようにする仕組みです。
この保険制度を創設するために、国は「14.52億円」の出資金を計上しました。
これは単なる新商品ではなく、「多少のリスクを国が引き受けてでも、この仕組みを広げたい」という、かなり明確な政策メッセージかもしれません。

■残価設定型住宅ローンのメリットとデメリット
メリット① 月々の返済額が大きく下がる
最大のメリットは、何と言っても 月々の返済額が軽くなる点です。
返済対象が減ることで家計に余裕が生まれ、教育費・生活費・貯蓄に回せるなど、暮らしの選択肢が広がります。
メリット② 「売っても借金が残る」リスクがない
国の保険制度により、売却価格が残価を下回っても差額請求されない仕組みが予定されています。
メリット③ 住み替え前提の人生設計と相性が良い
将来の転勤、実家へのUターン、老後の住み替えなど、ライフスタイルの変化を前提とする方には、柔軟な選択肢になります。
残価設定型住宅ローンの魅力は、やはり月々の返済負担が軽くなる点にあります。
住宅ローンに縛られすぎず、教育費や生活費、将来の備えにお金を回せるという考え方は、これからの時代に合った発想とも言えるでしょう。
一方、月々の支払いが安くなるのは魅力的ですが、まだ詳細が発表されていない部分には、いくつかの潜在的なデメリットや注意点が存在します。
デメリット① 家は資産として残らない
残価設定型住宅ローンでは、契約者の死亡時や期間終了時に「家を売却して清算する」ことを前提としています。したがって、完済して完全に自分の所有物にしたり、子供に資産として家を残したりすることは原則できません。
デメリット② 住み続けるには「多額の現金」が必要
もし期間終了後もその家に住み続けたい場合、設定された残価を一括で支払う必要があります。
デメリット③ 金利負担や維持管理のコスト増
据え置いた残価部分にも金利がかかるため、トータルの利息は通常ローンより多くなる場合があります。
また、残価(価値)を維持するために、車の残クレにおける走行距離制限のように、厳しいメンテナンス義務やリフォーム要件が課される可能性があるかもしれません。
デメリット④ 家族が住み続けられない可能性
契約者死亡時に売却前提となるため、残された家族の住まいが不安定になるリスクも考慮が必要です。
細かな条件は、今後の正式発表待ちとなりますが、金利についても、通常の住宅ローンより高めに設定される可能性があり、総支払額で見たときに割高になるケースも考えられます。
「月々が安い」という一点だけで判断するのではなく、仕組み全体を理解したうえで検討することが大切です。

■残価設定型住宅ローン、向いているのはどんな人?
【向いている人】
・月々の返済を抑えたい
・教育費・生活の余裕を優先したい
・将来の住み替えを視野に入れている
・家を「使い切るもの」と考えられる
このローンが向いている人は、月々の支払いを抑えながら、今の暮らしの質を大切にしたいと考える方です。
将来の住み替えを視野に入れていたり、住宅を資産として残すことに強いこだわりがない場合には、有力な選択肢になるでしょう。
【慎重な判断が必要な人】
・家を資産として残したい
・子どもに住んでもらいたい
・このローンでないと買えない状況
家を将来の資産として子どもに残したいと考えている方や、「このローンでなければ買えない」という状況の方は、慎重な判断が必要です。
■「所有」か「利用」か。
残価設定型住宅ローンは、家を「所有するもの」と考える時代から、「暮らしのために使うもの」と捉える時代への転換を象徴する制度とも言えます。
月々の負担を抑えて、今の理想の暮らしを優先するのか。
将来の資産価値を重視して、所有を選ぶのか。
正解は一つではありません。
大切なのは、ご家族にとってどんな住まい方が本当に合っているのかを、順序立てて考えることです。
太陽ハウジングでは、こうした新しい制度も含め、メリットとリスクの両面を整理しながら、一人ひとりに合った家づくりの考え方を一緒に整理しています。
「このローン、うちには合うのかな?」
そう感じた段階では、まだ決める必要はありません。
残価設定型住宅ローンが正解かどうかは、収入や年齢ではなく「これからの暮らし方」によって変わります。まずは整理するところから、一緒に考えてみませんか。
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