COLUMN
家づくりコラム
「あんな土地、持ってたっけ?」家を建てる前に知っておきたい、相続登記義務化と不動産の新制度
「あんな土地、持ってたっけ?」
相続の話が出たとき、ふと頭をよぎるこの一言。
実は、これからの時代、知らなかったでは済まされない問題になるかもしれません。
親から受け継ぐのは、家や預貯金だけではありません。
使っていない土地、遠方の山林、名義を変え忘れたままの不動産など、気づかないうちに、「管理しなければならない責任」まで一緒に引き継ぐ、そんな時代が始まっています。
2024年から2026年にかけて、相続や不動産をめぐるルールは大きく変わりました。
これまで許されてきた「あとでやろう」「そのうち」が通用しなくなる一方で、自分や家族の不動産を見える化し、将来の負担を減らすための新しい仕組みも整いつつあります。
このコラムでは、「難しそう」「まだ先の話」と思われがちな制度改正を、わかりやすく整理します。
・これから家を建てようと考えている方
・親御さんがご健在で、将来の相続が気になり始めた方
・「実家の土地を活用して建てたい」と考えている方
今回の話は、これから家を建てる人ほど避けて通れない話です。
今はまだ関係ない。
そう思っている今こそが、実は一番、備えやすいタイミングなのかもしれません。

■見覚えのない「眠れる土地」が、ある日突然「問題」になる前に
「親が亡くなったあと、遺品整理をしていたら見覚えのない山林の権利証が出てきた」
「若い頃に住んでいた場所の土地を、住所変更も名義変更もせず、そのまま忘れていた」
こうした話は、実は珍しいものではありません。
日本では長い間、不動産の登記は「やってもやらなくてもよいもの」とされ、放置していても特に罰則はありませんでした。
しかしその結果、誰のものかわからない所有者不明土地が全国に広がり、その面積は約410万ヘクタール(九州に匹敵する広さ)と言われています。
所有者不明土地によって、公共事業が進まない、災害復旧が遅れるなど、深刻な問題を背景に、不動産をめぐるルールは今、大きな転換点を迎えています。
今までも相続などで土地や建物の不動産を取得した際は、相続登記を行う必要がありましたが、2024年4月1日から相続登記が義務化となり、これまで許されてきた「うっかり」「あと回し」が、通用しない時代となりました。
一方で、不動産管理をぐっと楽にする新しい仕組みも同時に整えられつつあります。
■【2026年開始】全国の所有不動産が「一覧」で確認できる時代へ
2026年2月2日から始まるのが、「所有不動産記録証明制度」です。
これまで、「親がどこに不動産を持っていたのか」を調べるには、固定資産税の通知書を探したり、心当たりのある市区町村で「名寄帳」を請求したりと、非常に手間のかかる作業が必要でした。
しかも、非課税の私道や遠方の山林、昔の住所のまま放置された土地などは、簡単に見落とされてしまいます。
新制度では、法務局に請求することで、その人が所有者として登記されている全国の不動産を一覧にした証明書を取得できるようになります。
「どこに、何を持っているのか」が、初めて一枚のリストで見える。
これは、不動産管理の考え方を根本から変える制度かもしれません。
この制度は、相続人だけのものではありません。
所有者本人も利用可能です。
例えば、以下のような場面で、強力な判断材料になります。
・生前整理として、自分の資産を一度すべて棚卸ししたい
・相続放棄を検討する前に、負担になる土地がどれだけあるか確認したい
ただし、ひとつ注意点があります。
この制度は、「氏名・住所が完全一致する登記」しか拾いません。
親が何度も引っ越していて、古い住所のまま登記が残っている土地は、今の住所で検索しても出てこない可能性がありますので、過去の住所も含めて確認する必要があります。
家づくりを考え始めたとき、「実は親名義の土地が残っていた」「使えると思っていた土地が動かせなかった」そんなケースは、決して少なくありません。

■相続登記は「義務化」放置すれば10万円の過料も
2024年4月1日から、不動産の相続登記は義務になりました。
・相続で不動産を取得したと知った日から3年以内
・正当な理由なく放置すると10万円以下の過料
これを聞くと、「すぐに罰金が来るのでは?」と不安になるかもしれませんが、いきなり罰則が適用されるわけではありません。
実務上は、まず法務局から「催告(通知)」が届き、それでも対応しなかった場合に、裁判所への通知という流れになります。
また、国は“罰”だけでなく救済策も用意しています。
評価額100万円以下の土地については、2027年3月31日まで、登記にかかる登録免許税が免除されます。
価値が低い土地ほど、「あとでいいや」と放置されがちですが、むしろ早く動いたほうが負担は小さいのが現実です。
■過去の相続も対象になる
さらに注意したいのが、2024年4月以前に相続した不動産も対象だという点。
この場合の期限は 2027年3月31日。
遺産分割がまとまっていない場合でも、「自分が相続人であること」を届け出るだけで義務を果たせる相続人申告登記という制度があります。
「話がまとまらないから、何もできない」という時代では、もうありません。
また、相続登記が終わっていない不動産は、売ることも、建て替えることも、担保にすることもできません。
「兄弟で話が止まったまま10年。登記できず、売却も建て替えもできない」
このようなご相談は、今も現場で起きています。
登記ができていないまま止まっていたら、資金計画も、間取りも、スケジュールも決められない。つまり、家づくりの計画そのものが止まってしまう、ということでもあります。

■住所変更も義務化へ。デジタルで勝手に更新される仕組み
相続だけでなく、住所や氏名の変更登記も、2026年4月から義務化されます。
(期限と罰則規定:2年以内・5万円以下の過料)
とはいえ、引っ越すたびに不動産の登記まで気にするのは大変ですよね。
そこで登場するのが、2025年4月から始まる「スマート変更登記」
あらかじめ生年月日などを登録しておけば、住民基本台帳ネットワークと連携し、引っ越し情報をもとに 法務局が職権で登記を更新してくれます。
「知らないうちに住所が古いまま」
そんな未来の所有者不明土地を、制度そのものが防ごうとしています。
家は「建てて終わり」ではなく、何十年も所有し続けるもの。
だからこそ、管理し続けられる仕組みが、これからの家づくりには欠かせません。
■「いらない土地」を、子どもに残さないという選択
相続相談でよく聞くのが、「使い道のない土地を、子どもに押しつけたくない」という声です。
そのための選択肢が、「相続土地国庫帰属制度」です。
建物がない、境界が明確、土壌汚染がないなどの一定の条件を満たし、10年分相当の管理費(原則20万円、森林や市街地の宅地などは面積に応じて算定)を負担すれば、土地を国に引き取ってもらうことができます。
一定の条件はありますが、これは単なる処分制度ではなく、次の世代の人生設計を、負動産から守るための出口、そう捉えるべき制度と考えています。

■不動産は「持っている」より「管理できている」時代へ
2024年から2026年にかけての制度改革は、私たちを縛るためのものではありません。
・把握する(所有不動産記録証明制度)
・維持する(スマート変更登記)
・手放す(国庫帰属制度)
不動産という大きな資産を、自分でコントロールするためのツールが、ようやく揃った、そう言える時代です。
相続や登記の話は、どうしても「まだ先のこと」「難しいこと」と感じがちです。
管理できない不動産は、いつか必ず、家族の選択肢を狭めます。
知らなかった土地、整理できなかった名義、判断を先送りにした結果が、次の世代の負担になることも少なくありません。
2026年を境に、不動産は「持っているかどうか」よりも「きちんと把握し、管理できているか」が問われる時代になります。
あなたやご家族が持っている土地や建物は、今、どこにあり、どんな状態でしょうか。
そしてそれは、次の世代にとって安心につながるものでしょうか。
私たちは、住まいを「建てた瞬間がゴール」だとは考えていません。
住まいは、暮らしを支える器であると同時に、人生を縛らないための土台であってほしい。
だから、家づくりの前に資産としての整理も一緒に考えます。
「うちの場合はどうなんだろう?」 そう思われた方は、ぜひ一度ご相談ください。
土地や相続の状況を整理するところから、一緒に家づくりを始めましょう。
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