COLUMN

家づくりコラム

高性能住宅の「光と影」 UA値だけでは語れない、本当に豊かな家とは?

こんにちは、太陽ハウジングです。

家づくりを本格的に検討し始めた30〜40代のご夫婦へ。

今回の家づくりコラムは、性能の数字が飛び交う今の住宅市場で、数字だけに振り回されず「本当に大切なもの」を見失わないために、ぜひ知っておいてほしいポイントをまとめています。

高性能住宅の「影」とは?

近年、住宅業界では「UA値0.28 W/m²K以下が標準です」とうたうパワービルダーも登場し、高断熱・高気密の高性能住宅ブームが一気に加速しています。
省エネ性や快適性を高めるために性能を上げていこう、という流れそのものは、とても良い変化です。

ただその裏側で、数値だけが一人歩きし、本来の住み心地が置き去りになってしまうという「影」も出ています。
その影響がもっとも現れやすいのが「窓」です。

なぜ性能競争が「窓の縮小」につながるのか?

UA値(外皮平均熱貫流率)は、「家全体からどれくらい熱が逃げやすいか」を表す指標で、数値が小さいほど断熱性能が高いことを意味します。

問題は家の中で「どこから一番熱が逃げるのか?」という点です。
答えは、家の中で最も熱が逃げやすいのは、圧倒的に「窓」です。

例えば、ざっくりとしたイメージでいうと、
・高性能な壁:UA値 約0.2 W/m²K
・高性能なトリプルガラスの窓:UA値 約1.0 W/m²K
同じ「高性能」と呼ばれる部材でも、窓は壁に比べて約5倍も熱が逃げやすいということになります。

この差が大きいため、UA値を下げるための最も手っ取り早い方法が「窓の縮小・削減」なのです。

実際の設計現場でも、「UA値0.2を切る」という数値目標が最優先になってしまうと、
・南側の大きな掃き出し窓をやめて壁に変える
・腰窓のサイズを小さくする
・トイレ・廊下・浴室の窓をなくす

といった窓の縮小・削減、いわゆる「窓カット」が起こりやすくなります。
これは、もっとも手っ取り早くて効き目の大きい「性能調整の手段」ともいえるでしょう。

しかも、窓を減らすことはコスト削減にも直結します。
トリプルガラスの掃き出し窓は、1カ所で15〜20万円ほどすることもあります。
2カ所減らせば、30万円前後のコストダウン。

営業トークとしても、「UA値0.28の高性能です。しかも窓を工夫してコストも抑えました」という営業トークが成立します。

こうして、「冬暖かく夏涼しい家」という本来の目的よりも、「UA値0.28を達成すること」がゴールのように扱われてしまう。

つまり、快適な家をつくるという目的より、数値を達成することが手段から目的化してしまう。これこそが、高性能住宅の「影」なのです。

規格住宅でも起きている「見えない窓カット」

最近では、SNSや広告でも「高性能×低価格で実現する規格住宅」という言葉をよく目にするようになりました。
シンプルでスタイリッシュ、必要な設備やデザインを選んでカスタマイズできる――
その便利さと分かりやすさから、人気が高い商品です。

しかし、この規格化の裏側でも同じ現象が起きています。
規格住宅はコスト管理が非常に重要です。

・大開口を避ける
・窓の数を減らす
・北側や水まわりの窓が最初からない
・採光より断熱数値を優先したプランに寄せる

といった形で、あらかじめ窓カット前提の仕様になっているケースも少なくありません。

規格住宅そのものが悪いわけではありません。
ただ、「高性能」「低価格」という魅力を成立させるために、見えないところで窓の縮小が組み込まれているという事実を知っておくことはとても大切です。

窓が減ると、何が失われるのか?

窓を小さく・少なくすることで、数値上の性能は確かに良くなります。
ただし、その裏側では「暮らしの豊かさ」が失われてしまうケースもあります。

1. 室内が薄暗くなる

窓が減れば、当然、自然光の取り込みも減り、南面窓の面積を半分にすると、室内の照度は約30%低下します。

日中でも照明をつけないと暗いリビング、廊下やトイレにまったく窓がない家…。
そういった間取りが増えると、
「どこか息苦しい」
「すっきりしない」
「なんとなく気分が晴れない」
といった「感覚的なストレス」につながっていきます。

2. 内と外のつながりが消える

本当に心地よい家は、数字だけでは測れません。
良い家というのは、景色の取り込み方(借景)が上手です。
遠くの景色や街路樹、自分の庭の植栽などは、ふと目に入る季節の移ろいを感じます。

こうした景色を、窓を通して室内に取り込むことで、暮らしの豊かさが生まれます。
これらを窓で切り取り、室内に小さな風景をつくることで、生活の心地よさは大きく変わります。

良い建築や名作住宅を見ると、南だけでなく北側の窓の取り方も非常に上手で、「視線の抜け」と「景色の切り取り方」がとても計算されています。
窓を安易に削ってしまうと、この「視覚的な豊かさ」が大きく損なわれてしまいます。

3. 冬の「ほっこりした」あたたかさがなくなる

暖房器具で部屋を温めることも大事ですが、人間やペットが本能的に心地よく感じるのは、冬の晴れた日に、南の窓から差し込むやわらかな日差し、ネコが窓際で丸くなっているような「ほっこり感」です。

これは、十分な大きさと位置の窓があってこそ得られる豊かさです。
南の窓から差し込む日光は、心理的にも暖かく、幸福度に直結します。

ネコは「本当に心地よい場所」を知っている

ネコは、光・風・景色に敏感で、気持ちいい場所を本能で選びます。
冬は、南の窓から入る日だまりで丸くなり、気持ちのいい風が抜ける場所にすっと移動し、外の鳥や木の揺れを眺めながらウトウトする。
ネコは、光・風・景色といった「本能で心地よさを判断する達人」です。

そんなネコが、「この家、落ち着くなあ」と自然に寄ってくる場所や空間こそ、実は、人間にとっても本当に居心地のいい場所。
家づくりでは、この「ネコ基準」がとても参考になります。

西三河エリアで目指すべき「UA値」と「窓」のちょうどいい関係

太陽ハウジングが家づくりを行う愛知県・西三河(地域区分6地域)は温暖地で、北海道や長野のような寒冷地とは気候が大きく違います。

そのため、寒冷地と同じ感覚でUA値0.28といった極端な数値だけを追いかけることが、最適解になるとは限りません。

まず、太陽ハウジングが家づくりを行う「地域区分6(愛知県西三河)」における断熱性能の基準を整理すると、
・ZEH基準(6地域):UA値0.6以下
・HEAT20 G2(6地域):UA値0.46以下
と定められています。

この地域では冬の日射量も比較的多く、UA値0.4台をクリアすれば十分に高性能と言えるレベル。一方でUA値0.28を目指すと、そのために窓カットが起きやすくなり、暮らしの豊かさを損なう可能性が高まります。

だから私たちは、「窓を適切に確保しながら、UA値0.4台~0.6以下を目安に」という暮らしの豊かさを守る性能バランスを推奨しています。

断熱性能を確保したうえで、
・どこから光を取り入れるか
・どの窓からどんな景色が見えるか
・冬の日差しをどう取り込み、夏の日差しをどう遮るか
といった「窓と暮らしの設計」に目を向けることで、数値だけでは生まれない「気持ちよさ」や「幸福感」が手に入る家づくりができます。

■UA値は「ゴール」ではなく、健康診断の数値のようなもの

UA値などの性能指標は、とても分かりやすい数字です。
そのため、つい「数字が低い=良い家」と考えてしまい、他社との比較材料としても使われがちです。しかし、本来のUA値は、「冬暖かく夏涼しい、快適で省エネに暮らす」ための手段のひとつであって、目標そのものではありません。

・UA値は、人間でいう 「血圧」や「コレステロール値」 のようなもの

UA値は、人間の 「血圧」や「コレステロール値」 とよく似ています。
もちろん、数値は大切で、異常があれば改善が必要です。しかし 数値を下げることだけに必死になりすぎると、逆に体を壊してしまうことがあります。

血圧が低ければ低いほど良いわけではなく、コレステロールがゼロなら良いわけでもない、大切なのは、その人に合った適正値を保つことです。

UA値はあくまで、「快適で健康的に暮らすための指標」であって、数字そのものを目的にしてはいけない。
これが、太陽ハウジングとしてお伝えしたい大切な考え方です。

UA値という数値は、家の性能を知るための大切な指標です。
でも、数字がどれだけ優秀でも、その家が「心地よい」かどうかは、別の話。

もし、見学先や相談会でUA値の説明を受けたら、ほんの少しだけ立ち止まって、こんな想像してみてください。

「この家で、ネコはどこに寝そべるだろう?」
「光や風は、どう通るだろう?」
「ここで暮らす私たちは、気持ちよく過ごせるだろうか?」

数字には表れない、暮らしそのものの豊かさが見えてくるはずです。

UA値という数値は、家の性能を示すための大切なものさし。
でも、それだけを追いかけて窓を減らしすぎてしまったら…

そこはもう、ネコが日向ぼっこできる場所も、あなたがほっとできる景色も失われてしまう家なのかもしれません。

性能競争が進む時代だからこそ、「本当に大切にしたい豊かさ」を見失わないこと。
それが、後悔しない家づくりへのいちばんの近道だと私は思います。

太陽ハウジングはこれからも、UA値という「ものさし」に誠実でありながら、ネコが自然と眠りに来るような、光と風が心地よい住まいをこれからも大切に作っていきます。

建物見学の際には、ネコがどこで気持ちよさそうに眠るだろうか。
そんな「ネコ基準」で光や風を感じてみてください。
数字では分からない、その家本来の心地よさがきっと見えてきますよ。

UA値などの性能は、家づくりの大切な指標の一つ。でも、本当に心地よい住まいは、数字だけでは語りきれません。
「自分たちの暮らしに合う性能のバランスはなんだろう?」
そう感じたら、ぜひ家づくり相談会やモデルハウスへお越しください。
光の入り方や風の通り、間取りとの相性まで含めて、あなたの「ちょうどいい住まい」を一緒に考えていきます。

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