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家づくりコラム

みらいエコ住宅2026事業を徹底解説!新しい補助金で賢く家を建てる方法とは?

こんにちは、太陽ハウジングです。

2025年(令和7年)11月28日の閣議決定を受けて、新しい補助金制度「みらいエコ住宅2026事業」が発表されました。

まだ一部は正式発表前ではありますが、現時点で判明している確定情報と、ほぼ固まりつつある大枠を速報として整理しています。

家づくりの計画に影響してくる重要な制度のため、早めの情報収集にお役立ていただければと思います。

2025年まで実施されていた「子育てエコホーム支援事業」の後継制度で、省エネ性能の高い住宅を建てると国から補助金が受け取れるという、家づくりを検討されている方にとって非常に魅力的な制度となっております。

今回の制度も「GX志向型住宅・長期優良住宅・ZEH水準住宅」という3つのタイプに分かれ、それぞれ補助額や要件、対象世帯が異なるため、少し複雑に感じる方も多いと思います。

まずは、制度の細かい要件よりも、あなたがどのタイプを選べばいいのかを最初に明確にしておきましょう。

●【3秒でわかる】あなたに合う補助金タイプ

・太陽光をつける予定で性能も妥協したくない ⇒ GX志向型住宅
初期費用と性能をバランスよく、税制優遇も最大限使いたい ⇒ 長期優良住宅
とりあえず最低限の省エネで補助だけ欲しい ⇒ ZEH水準住宅

何となくでも方向性は掴めたでしょうか?

では、補助金タイプの方向性が少し見えたところで、「その判断は本当に正しい?」、「落とし穴はない?」といったポイントを踏まえながら、

・何がどう変わったのか(旧制度との比較)
・3つのタイプの特徴と違い
・どんな人がどのタイプを選ぶと良いのか

最新情報をわかりやすく解説していきます。

※本コラムは2025年12月4日時点の情報です。未発表部分は今後、正式決定に伴い内容が変更される可能性があります。

家づくりを始めたばかりの方や計画中の方は、このコラムを通して「みらいエコ住宅2026事業」という新しい補助金制度の全体像をつかんでいただければと思います。

みらいエコ住宅2026事業とは?

「みらいエコ住宅2026事業」は、国が掲げる2050年カーボンニュートラル実現に向けて「家庭のエネルギー消費を減らす」「CO₂排出を削減するを目的とした補助金制度です。

この制度を分かりやすく説明すると、

省エネ性能の高い家を建てる ⇒ 国が補助金で応援してくれる

という仕組みです。

制度名は毎年のように変わり、ウェブサイトも新たに一新されると思いますが、基本的な枠組みは大きく変わっていません。

GX志向型住宅・長期優良住宅・ZEH水準住宅という3段階のカテゴリーに応じて補助額が決まり、「高性能な家ほど補助金も手厚い」という考え方は従来と同じです。

■今回の制度で変わった2つのポイント

新制度では次の2つが大きな変更点されました。

・補助額が全体的に減額

特にGX志向型住宅の減額幅が大きく、「なぜこんなに差がついたのか?」という点は、多くの方が気になるところだと思いますので、後ほど詳しく触れていきます。

・地域区分(1〜4地域)が新設

寒冷地では補助額が高く設定されています。

旧制度と補助額の補助金額の比較

まずは、旧制度(子育てエコホーム支援事業)から、どのくらい補助額が変わったのかを一覧で整理してみます。

対象住宅旧制度補助額(みらいエコ住宅2026事業)補助額差額(一般地域)
GX志向型住宅160万円/戸110万円/戸 (125万円/戸:1~4地域)50万円の減額
長期優良住宅80万円/戸75万円/戸 (80万円/戸:1~4地域)5万円の減額
ZEH水準住宅40万円/戸35万円/戸 (40万円/戸:1~4地域)25万円の減額
古家の除却加算20万円20万円変更なし

※GX志向型住宅は古家除却加算の対象外。

GX志向型住宅は160万円から110万円と大幅減少。1~4地域の寒冷地は125万円。
長期優良住宅は80万円から75万円と微減と大きく変わらず。1~4地域の寒冷地は80万円。
ZEH水準住宅は40万円から35万円と微減。1~4地域の寒冷地は40万円。
減額の仕方にかなり差があることが分かります。

ここで気になるのが、「なぜGX志向型住宅だけ、ここまで大きく減額されたのか?」という点です。

これは「高性能住宅をもう応援しない」という意味ではなく、「GX住宅が想定以上に人気だった」という前制度の反省が根底にあると考えられます。

前回の子育てエコホーム支援事業では、GX志向型住宅の補助金枠が2025年7月22日に突然上限に達し、準備を進めていた方が補助を受けられない「GX補助金難民」がニュースになるほどでした。

そのため国としては、

・GX志向型住宅は補助を手厚くしなくても選ぶ人は選ぶ
・より多くの人が手を伸ばしやすい「長期優良住宅」などに予算を広く配分したい

という考えがあったのだろうと推測できます。

■タイプ別に補助金額・対象世帯を比較

次に、3つの住宅タイプの補助額と対象世帯を整理してみます。

住宅タイプ補助額 (基本)補助額 (※寒冷地)対象となる世帯家の主な特徴
GX志向型住宅110万円125万円すべての世帯断熱等級6・省エネ性能+太陽光・HEMS設置が必須
長期優良住宅75万円80万円子育て・若者夫婦世帯断熱等級5・高い断熱・省エネ性能と耐久性
ZEH水準住宅35万円40万円子育て・若者夫婦世帯国の標準的な省エネ性能

※ 寒冷地とは、省エネルギー基準における地域区分1~4地域を指します。

次章では、表だけでは分かりにくい「どんな人にどのタイプが合うか」を解説します。

■GX志向型・長期優良・ZEH水準の違いを解説

ここからは、3つの住宅タイプについて、
「どれくらいの性能なのか」
「どんな暮らしにつながるのか」
「どんな方に向いているのか」

という視点で、できるだけ専門用語を減らしながらご説明していきます。

●GX志向型住宅

「GX志向型住宅」は、3つの選択肢の中で最も求められる性能が高く、その分、補助金額も最大です。

この住宅に求められる主な要件は以下の通りです。

・断熱性能:断熱等級6以上

最高等級である断熱等級7の1つ下の断熱等級6は。温暖地であればUA値0.46以下とハードルは高くありません。夏は涼しく冬は暖かい快適な室内環境を実現する高性能な住宅であることに間違いありません。

「断熱等級ってどれくらいすごいの?」という方のために、服でたとえてみます。

等級4 … 普通のセーター1枚
等級5 … セーターの上に風を通しにくいジャケット
等級6 … さらに高性能なダウンジャケットを重ね着したイメージ

外が真冬でも、家の中は「Tシャツ1枚で過ごせるくらい快適」というイメージです。

・省エネ性能:一次エネルギー消費量を35%以上削減 

一次エネルギー消費量とは、暖房・冷房・換気・給湯・照明など、家の中で使うエネルギーの「合計」を指します。

GX志向型住宅では、太陽光発電などの再生可能エネルギーを除いた状態で、一次エネルギー消費量を「35%以上」削減することが求められます。

高効率のエアコンや給湯器、LED照明などを組み合わせて、建物自体の省エネ性能をぐっと引き上げるイメージです。

・太陽光発電導入:再エネを含めるとエネルギー消費量を原則100%以上削減

「100%以上削減」と聞くと少し不思議な表現ですが、つまり、家庭で使うエネルギー以上のエネルギーを自ら創り出す「エネルギー自給自足」の家を目指しましょうと言うことです。

実際には、曇りの日や夜は電気を買い、晴れた昼間にたくさん発電して売電することで、年間トータルの収支をプラスに近づけていきます。

建物の大きさや性能にもよりますが、一般的には5〜6kW程度の太陽光パネルが必要になるケースが多いでしょう。

なお、日照時間が短い寒冷地では削減率が75%に緩和されたり、屋根が小さい都市部の狭小地では要件が緩和・免除されるなど、現実的な配慮も盛り込まれています。

HEMS設置

HEMS(ヘムス)は、家の中で使っているエネルギーを「見える化」するためのシステムです。HEMS設置で、エネルギーを管理・見える化するシステムで家庭内のエネルギー使用状況を把握し、賢く節約する手助けをする機器を導入してくださいというイメージです。

「どの家電がどれくらい電気を使っているか」
「太陽光でどれくらい発電しているか」

といった情報をモニターで確認できるようになり、「どこを節約すると効果的か」が分かりやすくなります。

余談ですが、HEMSは指定された機器を「設置」することが要件ですが、実際にそれらの機器を接続して使用するかどうかは居住者の判断に委ねるという不思議ルールがあります。

【こんな方におすすめ】

・太陽光を設置する予定だった
・断熱性能を上げたい
・電気代の高騰リスクを抑えたい

GX志向型住宅は、「未来の電気代への不安を減らしたい」というご家族にとって、非常に心強い選択肢になります。

長期優良住宅

長期優良住宅は、高い性能を持ちながら、多くの人にとって現実的な選択肢となるバランスの取れた住宅です。

・断熱性能:断熱等級5以上

温暖地であればUA値0.6以下と余裕でクリアできる基準です。

先ほどの「服のたとえ」で言えば、「セーター+しっかりしたジャケット」というイメージで、日本の太平洋側や四国九州エリアでは十分に暖かく快適な暮らしが期待できます。

・省エネ性能:一次エネルギー消費量を20%以上削減 

GX志向型住宅の「35%削減」に比べると、省エネ基準から20%向上とぐっと現実的なラインです。高効率の設備を適切に組み合わせることで、無理なくクリアしやすい水準と言えます。

・太陽光発電、HEM:どちらも任意

任意なので、設置してもしなくても良いと言うことです。

GX志向型住宅との最も大きな違いは、「太陽光発電やHEMSの設置が必須ではない」という点。太陽光パネルはシステムによっては100万円以上かかるケースもあり、「そこまでの初期費用は難しい」というご家庭も多いと思います。

長期優良住宅であれば、初期費用を抑えつつ、性能・耐久性・資産価値のバランスが良い家を建てたい方に最適な選択肢かもしれません。

【こんな方におすすめ】

・現実的な予算で性能の良い家を建てたい
・太陽光やHEMSは将来の選択肢にしたい
・家を資産として考えたい

GX志向型ほど“攻め”ではないものの、「性能・コスト・将来の資産価値」のバランスを重視する方にとって、とても頼もしい選択肢です。

●ZEH水準住宅

ZEH水準住宅は、断熱性能・省エネ性能の要件自体は長期優良住宅とほぼ同じです。

・断熱等級5以上
・一次エネルギー消費量20%以上削減

という条件を満たす点は長期優良住宅と同じですが、「長期優良住宅としての認定」を受けない分、以下のようなイメージになります。

・長期優良住宅ほど書類や審査のハードルは高くない
・ただし、その分、補助額や税の優遇は控えめ

長期優良住宅の認定を受けるには、耐震性や劣化対策など、省エネ以外の要件も含めて多くの書類と審査が必要になります。

その手間やコストをかけず、ひとまず省エネ性能だけクリアして、補助金を受けたいという方向けの受け皿が、「ZEH水準住宅」と考えると分かりやすいかもしれません。

対象となる世帯の条件

この補助金は、選ぶ住宅タイプによって対象となる世帯の条件が異なります。ご自身のライフステージと照らし合わせて確認してください。

・GX志向型住宅の場合

すべての世帯が対象で、年齢や家族構成に関わらず、誰でも申請できます。

長期優良住宅・ZEH水準住宅の場合

子育て世帯 (申請時点で18歳未満の子供がいる世帯)もしくは若者夫婦世帯 (申請時点で夫婦のいずれかが39歳以下の世帯)のいずれかに該当する世帯が対象です。

40代以上のご夫婦、子供が独立しているご夫婦が「終の棲家」を建てる場合、長期優良住宅やZEH水準住宅の補助金は対象外になる可能性がありますのでご注意ください。その場合は、すべての世帯が対象の「GX志向型住宅」を検討することになります。

その他の要件

建物の広さ

対象となる住宅の床面積は、50㎡以上240㎡以下と定められています。
一般的な戸建て住宅であれば、ほとんどの場合この範囲に収まるかと思います。

・対象外となる土地

土砂災害特別警戒区域など、特定の災害リスクが高いエリアに建てる場合は(特例もありますが)原則として補助金の対象外となります。

土地探しから始める方は、「気に入った土地が補助金対象外だった…」ということにならないよう、契約前に必ずハザードマップを確認する習慣をつけておくことをおすすめします。

・対象となる工事の開始時期

令和7年(2025年)11月28日以降に「基礎工事」に着手した住宅が対象です。(閣議決定日であり、今後の正式発表で変更される可能性もあります)。この日付より前に工事が始まっている場合は対象外となるため、契約時期や工事スケジュールには注意が必要です。

■GX志向型住宅と長期優良住宅のどちらを選ぶべき?

「どちらが良いか」は、皆さんの世帯属性、元々計画していた家の性能、および投資できるコストによって異なります。まずは、主な違いをもう一度整理してみましょう。

項目GX志向型住宅長期優良住宅
補助額(一般地域)110万円/戸75万円/戸
対象世帯すべての世帯子育て世帯または若者夫婦世帯
断熱性能等級6以上等級5以上
一次エネ削減率 (再エネ除く)35%以上20%以上
再生可能エネルギー(再エネ)原則100%以上削減が必須設置不要
エネルギーマネジメントHEMSの設置が必須設置不要

今回のみらいエコ住宅のGX志向型住宅と長期優良住宅の補助金額の差が35万円です。

これは単なる35万円の差ではなくて、エネルギーを自給自足する未来への暮らしの初期投資と考えるか、堅実に資産価値を維持する家を優先するかの選択です。

例えば、電気代がさらに高騰するリスクをどう考えますか?GX志向型住宅はそのリスクに対する保険になります。

毎月の電気代の請求にビクビクしなくて済むというのは精神的に大きいかもしれません。

一方で、長期優良住宅には「補助金以外のメリット」も多く存在します。

・住宅ローン控除の借入限度額が一般住宅より大きい
・新築後の固定資産税が半額になる期間が3年から5年に延長される
・地震保険料が最大50%割引になる

これらをトータルで考えると、補助金額の差(GX志向型との35万円差)は、数年で回収できてしまう可能性すらあります。

家づくりの計画で断熱等級6にして太陽光発電を付けようと思っていた方であればGX志向型住宅を狙ってよいと思いますが、目先の補助金額だけで断熱等級6や太陽光発電を付けるという判断は危険とうことです。

住宅ローン控除の優遇、固定資産税の減額、耐震等級により地震保険の割引など含めてトータルでどちらがお得か、シミュレーションする必要があります。

【結論】

もともと断熱等級6+太陽光設置予定 ⇒ GX志向型住宅
性能×コスト×税制優遇をバランスよく⇒ 長期優良住宅

前回の子育てエコホーム支援事業では、補助金額160万円のGX志向型住宅に当てられた予算が専門家の予想をはるかに超えるスピードで「瞬く間になくなった」という事例もあります。

補助金が支給されなくなったGX補助金難民としてニュースでも取り上げられておりました。この補助金も国の予算で運営されており、上限に達し次第、ある日突然終了します。

賢く補助金を活用するための最大の秘訣は、「早めの行動」です。

家づくりを依頼するハウスメーカーや工務店が決まったら、できるだけ早い段階で「みらいエコ住宅2026事業の補助金を利用したい」とはっきりと伝え、相談を始めましょう。

実際の申請手続きは住宅会社が行うため、担当者とのスムーズな連携が不可欠です。

この制度を上手に活用して、お得に、そして賢く、あなたの理想の家づくりを実現してください。

みらいエコ住宅2026事業は、「省エネで快適な家を建てたい」と考える方にとって大きな追い風になる制度です。

最後に、タイプ別の特徴とどんな方に向くかをシンプルにまとめました。

タイプ特 徴こんな方におすすめ
GX志向型住宅最高性能+太陽光必須電気代を安定させたい/性能重視
長期優良住宅バランス最強税制も含め総合コスパで選びたい
ZEH水準住宅最低限の省エネ+補助初期費用優先/太陽光付けない

太陽ハウジングでも、制度の最新情報が入り次第、随時お知らせいたします。

「自分たちの条件だと、どのタイプを選ぶのが良さそう?」
「GX志向型と長期優良住宅、どちらで計画したほうが良い?」

といったご相談も、ぜひお気軽にお声がけください。

補助金というチャンスを上手に活かしながら、賢く、そして後悔のない家づくりを一緒に考えていきましょう。