COLUMN

家づくりコラム

家づくりで最初にやりがちな勘違い3つ- 決める前に知っておきたい、遠回りしない考え方 -

こんにちは、太陽ハウジングです。

「とりあえず情報を集めよう」
「まずは土地を探さなきゃ」
「住宅ローンはいくら借りられるんだろう?」

家づくりを考え始めたとき、多くの方がこのように考えます。

どれも自然に出てくる第一歩ですし、決して間違いではありません。

ただ、こうした「当たり前に見える第一歩」が、実は理想の家から遠ざかる遠回りの始まりになってしまうケースが少なくありません 。

少しでも目に見える成果(=具体的な進捗)を得て、「家づくりが順調に進んでいる安心感を得たい」という、心理的な焦りが隠れていることもあります。

今回は、太陽ハウジングに寄せられるご相談の中でも、特に多い「家づくり初期段階に起こりがちな3つの勘違い」をご紹介し、失敗しないための視点をお伝えします 。

これから家づくりを始める方、すでに家づくりを動き始めている方も、ぜひ一度ご自身に当てはまらないか確認してみてください。

勘違い①「土地」か「家」、どちらかを先に「決めすぎる」

家づくりという、あまりにも壮大で漠然としたプロジェクトを前にすると、誰しも不安になるものです。

その大きな不安の中で、「何か一つでも具体的な進歩が欲しい」という心理が働き、「土地を買った」「間取りが決まった」という目に見える成果を焦って求めてしまいます。

しかし皮肉なことに、その焦りこそが、かえって家づくりの可能性にフタをしてしまう最大の原因になってしまうことがあります。

私がこれまで見てきた中で、後から「こんなはずでは…」と頭を抱える最も多いパターンがこちらです。

パターンA:土地を先に決めてしまう

「まずは土地を決めないと、家づくりは始まらない」

家づくり=土地探しから。そう考えている方はとても多いと思います。

ただ、「いい土地は待ってくれない」「今決めないと、誰かに買われてしまう」という言葉に後押しされ、前提を整理せずに土地を契約してしまうケースです。

土地を先に決めるということは、一見、理想的なスタートに見えますが、後から次のような問題に悩まれるケースも少なくありません。

・予算の圧迫

土地に予算を使い過ぎたり、想定外の造成費が発生したりして、肝心の建物にかけられる予算が圧迫される。

・物理的、法的制約

いざ設計を始めると、土地の形状や建築法規(建ぺい率、容積率、高さや斜線制限、壁面後退など)の影響で、希望の間取りができない。

・暮らしの犠牲

車の駐車がしづらい、駐車場を確保したら庭がほとんど取れない、隣家の影響で午前中しか日が入らないなど、日当たりや駐車計画が土地という「器」の制限で成り立たなくなる。

これらはすべて、土地という器を先に決めてしまったことで、中に入れるべき暮らしが窮屈になってしまった例です。

本来は、土地という枠に暮らしを無理やり詰め込むのではなく、その土地でどんな暮らしが実現できるか、どれくらいの広さの家が必要か、全体の予算感はどのくらいか、といった前提をある程度整理してから土地を見ることが不可欠です。

そうすることで、その土地が本当に合っているかを判断しやすくなります。

では、逆に「理想の家をカタチしてから土地を探す」のが正解なのでしょうか?

パターンB:理想の家を先に固めすぎる

実は、逆のパターンも同様に危険です。

SNSや施工事例を参考に、「こんな間取りにしたい」とか、「回遊できるアイランドキッチン」「吹き抜けとオープン階段のあるリビング」など、理想の家のイメージを完璧に描き上げてから土地探しを始めるケースです。

理想を膨らませること自体は、決して悪いことではありません。

「理想の家を先に決めれば、あとは土地を探すだけ」と思いがちですが、理想の家を先に固めすぎてしまうと、今度は土地探しが難しくなってしまうケースがあります。

・現実との乖離

理想の間取りに合う土地がなかなか見つからず、土地探しが果てしない「宝探し」のようになってしまう。

・設計の不整合

土地にはそれぞれ最適な「駐車計画」や「光の採り方」がありますが、建物の形を固定してしまうと、その土地の良さを活かせなくなる。

良さそうな土地が見つかったとしても、建ぺい率とか高さ制限といった法規制で、そもそも同じ形が建てられないという壁にぶつかることもあります。

家の形を固定してしまうと、その土地で最も効率的な日当たりの取り方や、スムーズな駐車計画が成り立たなくなることもあるのです。

結果として待っているのは、厳しい二択です。

・理想の家を大きく見直す
・日当たりや利便性を犠牲にして無理やりその土地に建てる

どちらにせよ、当初の思い描いていた幸せな家づくりとは、少し違うものになってしまいます。

何か一つを早く決めると安心します。
でもそのせいで、他のもっと大事な選択肢を失ってしまう。
まさに「選択と集中のパラドックス」みたいなものです。

解決策はシンプルです。
大切なのは、土地も家も最初からガチガチに決め切らないこと。

初期段階で必要なのは、何かを固めることではなく、
「このくらいの広さなら対応できる」
「この条件は譲れないけどこっちは柔軟に変えられる」
といった「余白」を持つこと。

この余白こそが、土地という現実と家という理想をうまくすり合わせるための潤滑油になるんです。

もし「土地を見始めてから急に不安が増えた」「間取りの打合せをして違和感がある」なら、それは順番を間違えているサインかもしれません。

勘違い②「住宅ローンは、借りられる金額=安心な予算」

ネットで年収とか入れると、「あなたは最大何千万まで借り入れ可能です」と、すぐに出てきます。その数字を見ると「よし、これが自分の予算の上限。借りられるなら大丈夫」と、つい思ってしまいます。

ただし、ネットのシミュレーション等で表示される「借入可能額」を、そのまま自分たちの予算上限だと信じ込んでしまうのは非常に危険です。

金融機関が提示する「借りられる金額」と、あなたが今後何十年も無理なく返済していける金額は、全くの別物だということです。

「借りられるなら大丈夫」という考え方こそが、実は非常に危険な落とし穴なんです。

「数学」ではなく「ライフプランニング」で考える

借入額だけを基準にすると、建てた後に「思っていた暮らしができない」という本末転倒な事態に陥りかねません。

35年40年という長いスパンで見れば、お子さんの教育費がピークを迎える時期もあれば、どちらかの働き方が変わって収入が変動する可能性もあります。

大切なのは「返せるかどうか」というギリギリのラインで考えるのではなく、この家を建てた後も「安心して、豊かに暮らせるか」という視点です。

例えば、毎月いくらまでなら、将来の不安を感じずに暮らせそうか。返済期間についても、35年という数字にとらわれず、自分たちの働き方やライフスタイルに合った考え方がないかを含めて、家族でしっかり話し合うことが、予算決めのスタートです。

この視点が、本当の予算を決める基準になります。

予算決めは数学の問題じゃなく、ライフプランニングの問題。
自分たちの暮らしを基準に考えることが本質だと思います。

さて、土地と家、そしてお金の話ときましたが、現代ならではのもっと厄介な問題、それが三つ目の勘違いです。

勘違い③「情報を集めれば、正解が自然と見えてくる」

今は、SNS、ブログ、動画、比較サイト、家づくりに関する情報は本当に海のようにあります。

だからこそ、多くの人は「インプットを増やせば、自分たちにとってのベストが見つかるはずだ」と考えます。少し調べるだけでも、たくさんの情報が手に入りますよね。

しかし実際には、調べれば調べるほど選択肢が増えすぎ、何だかわからない「情報過多」の状態に陥ってしまうこともあります。

実際のご相談でも、
「情報が多すぎて、何を信じればいいのか分からない」
「調べれば調べるほど、迷ってしまった」
という声もよく聞かれます。

北海道の家づくりで大成功した高気密高断熱のノウハウが、西三河の家づくりにそのまま当てはまるとは限りません。

子どもがいないご夫婦にとって最高のミニマルな間取りが、子どもが3人いるご家庭にとって最適とは限りません。

決して、情報そのものが悪いわけではありません。
ただ、家づくりでは新しい情報を増やすこと以上に、今の自分の状況(=自分たちだけの設計思想)に合った情報を整理することの方が、はるかに重要です。

太陽ハウジングの家づくり相談では、「情報を集めすぎて動けなくなった」状態から、何を削り、何を残すかを一緒に整理するところから始めています。

最初に必要なのは「決断」ではなく「整理」

今回ご紹介した3つの勘違いは、どれも家づくりを始めたばかりの方がつまずきやすいポイントです。

そして、これらすべてに共通する根本的な問題は「決めるタイミングが早すぎる」というこの一点に尽きます。

・土地を先に決めすぎる、家の理想を固めすぎる
・ローン額を信じすぎる
・情報を集めて答えを出そうとしすぎる

家づくりの本当に最初の段階で必要なのは、何かを決断することではなくて、自分たちの現在地を正しく把握して「整理」することです。

では、具体的に何を整理すればいいのか。
最初に整理すべき項目はたった3つです。

1. 今の状況はどうか

家族構成、年齢、年収、自己資金はいくらかといった客観的な事実を明確にする。

2. 何が決まっていて、何が決まっていないのか

例えば「このエリアに住みたい」は決まっているけど、「家の広さ」は決まっていない、といった具合に確定事項と未定事項を仕分けする。

3. 次に考えるべきことは何か

今の状況と「決まっていること・いないこと」を踏まえた上で、次の一歩は土地探しなのか、資金計画なのか、それとも理想の暮らしのイメージを家族で話し合うことなのかを明確にする。

この最初の「整理」というステップを丁寧に行えば、その後の道のりで迷子になることは格段に減ります。
焦って何か具体的な答えを見つけようとするのではなく、まずは自分たちの問いそのものを整理することから始める。
それが、結果的に理想の家づくりへの1番の近道になるのかもしれません。

土地やローンといった具体的な話よりも前に、もっと大切なことがあります。
それは自分たちの状況や価値観を整理すること。

では、その整理のさらに中心にあるもの、
すべての判断のコンパスになる「たった一つのこと」は何でしょうか?

それは、あなたにとってこの新しい家での「幸せな暮らし」とは何か。
日々の生活の中で具体的に何を意味するのかということです。

朝どんな光を浴びて目覚めたいのか。
休日の午後、誰とどんな会話をしてどんな気持ちで過ごしたいのか。
それは豪華なキッチンや広いリビングのことではないかもしれません。

その具体的なイメージこそが、無数の選択肢の中から、あなたにとって本当に価値のあるものを選ぶための唯一の基準になるはずです。

「自分の場合はどうなんだろう?」と感じた方は、一度立ち止まって整理する時間を取ってみることをおすすめします。

このコラムをここまで読んでくださった方は、すでに「情報収集」から「整理」の段階に進んでいます。
迷っているのは決断力が足りないからではなく、整理の順番がまだ見えていないだけかもしれません。

太陽ハウジングの家づくり相談会では、家を売る前に、あなたの考えを整理する時間を大切にしています。

1月の相談会には、私自身も参加しますので「まだ何も決まっていない」という方も、安心してお越しください。

もし今、何から手をつければいいか分からなくなっているなら、それは整理が必要なサインかもしれません。

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