COLUMN

家づくりコラム

新築前に知っておきたい「350mmの法則」|後悔しない押し入れ収納の考え方

こんにちは、太陽ハウジングです。

家には押し入れがありますよね。

でもその押し入れが、いつの間にかごちゃごちゃしてしまって「どうにかならないかな…」と感じたことはありませんか?

「片付けてもすぐ散らかる」

「押し入れの奥がブラックホール化している」
そんな悩みをお持ちの方は、多いのではないでしょうか。

家を建てたあと、「収納、もっとちゃんと考えておけばよかった…」と感じる方は、実は少なくありません。

押し入れ収納で後悔するかどうかは、片付けが得意かどうかでも、収納量の多さでもありません。「350mm」という寸法を知っているかどうかで決まります。

「350mm」とは、棚の高さを考える際の基準となる寸法のこと。日用品の多くがこのピッチで気持ちよく収まるため、「どこに何をしまうか」が自然と決まり、片付けやすい収納になるのです。

実は最近、改めて学ぶ機会があったのですが、押し入れをスッキリ使いやすくするための、とても理にかなった考え方があります。

家づくりを考えるうえでも、ぜひ知っておいてほしい内容だと感じました。

この考え方をわかりやすく整理しているのが、住まい方アドバイザーの近藤典子さんと、住宅設備メーカーのLIXIL がまとめた収納の考え方です。

今回のコラムでは、「なぜ押し入れは片付きにくいのか?」「どう考えれば使いやすくなるのか?」という視点から、家づくりにも活かせる収納のヒントをご紹介していきます。

■実は使いにくい?昔ながらの押し入れ「3つの問題点」

多くのご家庭にあるのが、引き違い戸の押し入れ。
日本の住宅では長く定番とされてきた収納スタイルです。

ここで少しだけ、押し入れのつくりについて整理しておきます。

押し入れの中には「中段」と「枕棚」があり、もともとは布団を収納することを前提につくられていました。

ちなみに「枕棚」は、その名の通り「枕を置く棚」のこと。
最近では、「それ、何に使うんですか?」と聞かれることもあるほどです。

一般的な押し入れは、幅約1800mm・奥行き約780mm・高さは天井までと、一見するとたっぷり収納できそうに見えますが、実は現代の暮らしには合いにくいポイントが3つあります。

1.中段・枕棚が「固定」されている

    一般的な押し入れは、中段や枕棚の高さが固定されています。

    入れる物の大きさに合わせて調整できないため、高さのある物が入らなかったり、逆に小さな物の上が広大な無駄空間になったりします。

    この空間に無理やり物を詰め込んでしまうことで、中身が把握できない「何でも入れ」状態になってしまい、押し入れが「ブラックホール化」する原因になります。

    2.奥行きが深すぎる

      昔ながらの押し入れは、布団収納を前提にしているため、
      奥行きが約780mmとかなり深め。ところが、クローゼットや日用品収納として使う場合、この奥行きが逆に使いにくさにつながります。

      奥まで手が届きにくく、「奥に何を入れたか分からない」「気づいたら使っていない物が眠っている」そんな状態になりやすいのです。

      3.引き違い戸で間口が半分しか開かない

        引き違い戸は左右にスライドするため、常に開口部は半分だけになります。

        例えば、外寸で1800mmの幅の押し入れであっても、内部の有効寸法は1690mm程度。その半分しか開かないため、中央にある物や大きな物は出し入れしづらくなります。

        重い布団を収納する際も、まっすぐ入れるのではなく、「くの字」に曲げて押し込む必要があります。

        背の低い方や力の弱い方とっては、出し入れが大きな負担になってしまいますよね。

        このように、布団を中心に考えられてきた収納スタイルは、衣類・日用品・家電など多様なモノに囲まれる現代のライフスタイルには、少し合わなくなってきているのかもしれません。

        ■3つの問題点に対する「収納の考え方」

        では、昔ながらの押し入れの問題点に対して、どのように考えればよいのでしょうか。また、なぜ「350mm」という考え方が必要になるのでしょうか。

        住まい方アドバイザーの近藤典子さんが提案しているのは、驚くほどシンプルな考え方です。
        ポイントは、「押し入れの形に暮らしを合わせる」のではなく、「暮らしに合わせて押し入れを考える」こと。

        具体的には、次の3つです。

        1.中段と枕棚を固定せず、高さを自由に変えられるようにする

          あらかじめ高さを決めつけず、収納する物に合わせて棚の位置を変えられるようにします。

          これだけで、「入らない」「上が余る」といったムダが減り、押し入れ全体を効率よく使えるようになります。

          2.収納する物に合わせて、奥行きを使い分ける

            すべてを同じ奥行きで考えるのではなく、衣類・日用品・家電など、入れる物に合わせて奥行きを調整するという発想です。

            奥まで見えない・手が届かない、といった押し入れ特有のストレスを減らすことができます。

            3.入れる物から逆算して、建具の開き方を工夫する

              「引き違い戸が当たり前」と思い込まず、出し入れのしやすさを優先して建具を選ぶことも大切です。大きな物や重い物を出し入れする場合は、間口が大きく開く建具(折れ戸・観音扉)の方が、日々の負担を軽くしてくれます。

              そして、これら3つの考え方をひとつの基準として整理したものが、次にご紹介する「350mmの法則」 です。

              この考え方を知ることで、押し入れは「とりあえず入れる場所」から「自然と片付く収納」へと変わります。

              ■収納が劇的に変わる「あらゆるモノが収まる 350mmの法則」

              「どこに何をしまえばいいか分からない」

              そんな収納の悩みを一気に整理してくれるのが、住まい方アドバイザーの近藤典子さんが数万件におよぶ現場計測から導き出した「350mmの法則」です。

              私たちの身の回りにある日用品のサイズを改めて見てみると、驚くほど多くの物が「350mm」を基準にすると気持ちよく収まります。

              この法則は、床から350mmピッチで棚の高さを考えるという、とてもシンプルな考え方。なぜ350mmなのかというと、日常的に使う物の多くが、この寸法にちょうど合うためです。

              350mmピッチで考えると、収納はこう変わります。

              高さ収納できる物の例
              1段(350mm)A4ファイル、書籍、トイレットペーパー(12ロール)、衣装ケース
              2段(700mm)スーツケース、ボトムス類(ズボン・スカート)※700mmは一般的なデスクと同じ高さで、収納内に作業スペースを作る目安にもなります。
              3段(1050mm)扇風機(立てたまま収納)
              4段(1400mm)スティック型掃除機、コート、ワンピースなどの丈の長い衣類

              このように、350mmを基準に考えることで、「何をどこにしまうか」が自然と決まり、無理なく整理できる収納になります。

              【具体例】共働き+小学生のお子さんがいるご家庭の場合
              ・下段(350mm〜700mm)は毎日使う日用品や通学用品
              ・中段は家族の衣類
              ・上段は季節家電や来客用の布団

              350mmピッチで考えると、「何をどこに置くか」を悩まなくても、自然と役割分担が決まっていきます。

              ・もうひとつ大切なのが「黄金ゾーン」

              自分にとって出し入れしやすい高さを意識することも重要です。 一般的には、目線から腰の高さ(床から約700mm〜1400mm)が、もっとも出し入れしやすい「黄金ゾーン」と言われています。よく使う物はこのゾーンに、使用頻度の低い物は上下に配置するのがコツです。

              身長や使い方によって、ラクに手が届く高さ・使いやすい高さは人それぞれ違います。

              350mmピッチで棚を設定しておけば、その人に合った高さに調整しやすく、デッドスペースを最小限に抑えた、管理しやすい収納が実現します。

              「片付けが苦手だから」ではなく、寸法の考え方を変えるだけで、収納は驚くほど使いやすくなります。

              この「350mmの法則」は、これから家づくりを考える方にこそ知っておいていただきたい収納計画の基本ともいえる考え方になります。

              ■奥行きも「一枚棚」から卒業

              押し入れの使いにくさは、高さだけでなく奥行きの考え方にも原因があります。

              昔ながらの押し入れでは、奥行き約780mmの棚板を一枚でドンと設けるケースが一般的ですが、この奥行きは、現代の収納には少し深すぎます。

              そこでおすすめなのが、収納する物に合わせて奥行きを使い分けるという考え方です。

              例えば、700mm/600mm/400mmといった、使いやすい奥行きで棚を設計しておくと、「奥まで手が届かない」「何が入っているか分からない」といった問題を防ぐことができます。

              ・前後に分けるだけで、使いやすさが大きく変わる

              棚板も、一枚で固定するのではなく、前300mm+後ろ400mmといったように前後で分割するのがおすすめです。

              この「前後分割棚」にしておくと、必要に応じて棚板を外すことができ、扇風機や掃除機などの長物もスムーズに出し入れできます。

              ・L字型配置でデッドスペースを減らす

              棚をL字型に配置することで、奥まで見渡せる収納になり、「奥に何が入っているか分からない」という押し入れ特有の悩みも解消されます。

              デッドスペースが生まれにくく、出し入れのストレスも少ない収納は、自然と片付けやすい状態を保ってくれます。

              押し入れは、とにかく奥まで使う場所ではなく、「使いやすい奥行きで、見渡せる収納」にすることが大切。

              この考え方も、先ほどご紹介した「350mmの法則」と組み合わせることで、より効果を発揮します。

              ■新築時こそ考えたい「進化する収納」

              ここまでご紹介した考え方は、新築に限らず、リフォームやDIYでも取り入れられます。
              ただ、いちばん効果が出やすいのはやはり新築のタイミングです。

              というのも、収納は「後から足す」ことはできても、奥行きや棚の分割、建具の開き方といった使いやすさの土台は、住まいづくりの段階で決まってしまうことが多いからです。

              例えば最近は、写真のように収納をただ隠すのではなく、見せながら整えて使うスタイルも増えています。

              こうした収納は、最初にルール(寸法や仕組み)が整っているほど、暮らしの中で散らかりにくくなります。

              「そこまで細かく考えるのは大変そう…」と感じる場合は、近藤典子さんとLIXILが考え方を形にした製品(ヴィータス パネル)を参考にするのもひとつです。寸法の考え方や、使い方の工夫が整理されているので、収納計画を考える際のヒントになります。

              新築は、収納をその場しのぎではなく、暮らしの変化に合わせてアップデートできる仕組みにしておけるチャンス!ぜひ家づくりの段階から、収納も一緒に見直してみてください。

              ■収納は「片付ける力」ではなく「仕組み」で決まる

              押し入れが片付かない理由は、決して片付けが苦手だからでも、性格の問題でもありません。今の暮らしに合っていない収納の構造が原因になっているケースが多いものです。

              今回ご紹介した「350mmの法則」を知るだけで、収納の考え方は大きく変わります。

              ただ、本当に大切なのは、それを実際のプランにどう落とし込むかです。

              太陽ハウジングでは、350mmの考え方を収納・間取り・動線まで含めて、図面レベルで一緒に整理していきます。「収納が理由で後悔しない間取り」を、設計段階から一緒に潰していくのが、私たちの役割です。

              「この収納、本当に使いやすいかな?」

              そう感じたときは、ぜひ一度ご相談ください。
              毎日の暮らしが少しラクになるヒントも、一緒に考えていきます。

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