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2025.05.08

築25年以上の家を見直すなら今?リフォームとリノベーションの違いと選び方のポイント

こんにちは、太陽ハウジングです。

私はこの住宅業界に携わって25年以上になりますが、

最近では、私が若いころにお住まいを建てていただいたオーナーさまと「定年後の暮らし」についてお話しする機会が増えてきました。

「子育ても落ち着いて、これからの時間をどう過ごそうか」

「体力があるうちに、暮らしを整えておきたい」

そんな声をお聞きするたびに、住まいというのは人生に寄り添い、時間の経過とともに変化していくものだと、あらためて感じます。

今回は、私が日々オーナーさまと接する中で感じていることを交えながら、築25年以上経った住まいを見直す際に、ぜひ知っておいていただきたいことをお話ししたいと思います。

このコラムでは、これからの暮らしに向けた「住み継ぎ方」をテーマに、リフォームとリノベーションの違いや考え方、そして、安心して快適に暮らしていくためのヒントをお届けします。

「家を直す」だけではもったいない?リフォームとリノベーションの違いとは?

長く住んできた家を、これからも大切に使い続けたい。そう思ったとき、まず思い浮かぶのが「リフォーム」かもしれません。

でも、近年は「リノベーション」という選択肢も注目されています。

どちらも「家を整える」という点では共通していますが、実はその目的や内容には大きな違いがあります。まずは、それぞれがどんな工事なのかをわかりやすくご紹介します。

リフォームとは?

リフォームとは、傷んできた設備を新しくしたり、壊れた部分を直したり、古くなった見た目をきれいに整える、「家を新築時の状態に近づける」ことを目的とした改修です。

たとえば、こんなケースがあります。

・水まわり設備の交換

キッチン、トイレ、お風呂、給湯器などの設備を新しくする工事です。
「最近お湯の出が悪い」「お風呂の掃除が大変」など、使い勝手や不便さを感じたときに検討される方が多いです。

・内装・外装のメンテナンス

壁紙の張り替えやカーテンの新調、外壁の塗装や屋根の補修などです。
「そろそろ外壁が色あせてきたな…」といったときに、見た目を整えて気持ちよく住み続けるための工事です。

・故障箇所の修理・防水工事

雨漏りや扉の不具合、ベランダの防水処理など、生活に支障が出る部分を直すための工事です。トラブルの芽を早めに対応することで、快適な暮らしを保つことができます。

これらはどれも、今ある暮らしをそのまま続けるためのメンテナンスのようなもの。快適さを取り戻すには欠かせませんが、家の性能や暮らし方そのものが大きく変わるわけではありません

リノベーションとは?

一方のリノベーションは、もっと大きな視点で住まい全体を見直し、これからの暮らしに合わせて“再設計”するための工事です。家の構造や間取り、性能までを見直して、「これからの暮らしに合わせて再設計する」ことを目的とした改修です。

たとえば、こんな内容があります。

・耐震補強(地震に強い構造へ)

1999年以前に建てられた住宅は、現行の耐震基準を満たしていないことも多くあります。
「もし地震が来たら…」という不安を解消するために、耐力壁の追加や金物補強などで、構造的な強さを高める工事です。

・インフラの更新(配管・電気・ガスなど)

築年数が経つと、水道管や電気配線、ガス管の老朽化も進みます。地中の配管やインフラの老朽化は目に見えにくく、気づかないうちにトラブルにつながることもあります。
表面からは見えないけれど、劣化が進むと水漏れや火災のリスクも。長く安心して住むために、こうした住まいの内側も見直しておくことが大切です。

・家事動線を考えた間取りの再設計

昔の間取りは、家事効率が十分に考慮されていないこともあります。
「洗濯物を干すたびに階段を上り下り…」
「使いにくいキッチンで毎日頑張っている」
そんな声もよく聞きます。

洗濯動線やキッチンの使い勝手を見直すことで、家事がグンと楽になり、日常のストレスを大きく減らせます

・断熱性・気密性を高める工事

「冬は寒くて、夏は冷房が効きにくい…」
そんなお悩みには、床・壁・天井に断熱材を入れたり、隙間風を防ぐ施工を行ったりすることで、室温の安定や光熱費の削減につながります。

・換気や空調の整備

古い家には「24時間換気システム」が入っていないことも多く、空気がこもりがちです。
高気密な住宅ほど、しっかりと計画的に換気できる仕組みが必要になります。また、冷暖房機器の配置や性能を見直すことで、一年中快適な室内環境を保つことができます。

リノベーションは「これからの暮らしの質を高める工事」

リノベーションは、「家を直す」だけでなく、今の自分たちの暮らしにフィットした家に作り変える工事です。

これまで頑張ってきた自分たちのために、これからの時間をより快適に、安心して、笑顔で暮らすための投資として――「リノベーション」という選択肢を、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

築25年以上の家って、どんな状態?

「うちもそろそろ築25年以上経つけれど、まだ住めているし大丈夫かな?」
そんなふうに感じている方もいらっしゃるかもしれません。

けれど、25年前――つまり2000年前後に建てられた住宅には、当時ならではの特徴や、今の基準とは異なる点がいくつかあります。

この時期は、ちょうど住宅性能に関する基準や考え方が大きく変わり始めた頃でもありました。

・耐震性は大丈夫?

2000年には「建築基準法」の大きな改正があり、住宅の耐震性能に関するルールが厳格化されました。その背景には、1995年の阪神・淡路大震災で多くの木造住宅が倒壊したという事実があります。

改正後は「耐震等級」という考え方が明確になり、耐震等級1は最低限クリアすべき基準とされるようになりました。

しかし、2000年以前に建てられた住宅の中には、この耐震等級1すら満たしていないものも多くあります。

当時は今ほど詳細な構造計算が義務化されておらず、現場の経験や勘に頼って建てられた部分も少なくありませんでした。そのため、見た目に問題がなくても、地震に対しては「構造的に弱い」可能性があるのです。

・断熱・気密性はどう?

もうひとつ、大きな違いがあるのが断熱性と気密性です。

断熱性能については、1999年に「平成11年基準」が導入され、ようやく本格的に冬あたたかく、夏すずしい家づくりが意識されるようになりました。

しかし、平成11年以前の住宅や、その過渡期に建てられた家では、
・壁や天井の断熱材が薄い、または入っていない
・窓が単板ガラスで、外気の影響を受けやすい
・すき間風が多く、冷暖房効率が悪い
といった、断熱・気密面での弱さが見られることがあります。

その結果として、
・冬はとにかく寒く、光熱費がかさむ
・夏は室内がムッとした空気に包まれる
・浴室や脱衣所の寒暖差によるヒートショックのリスクが高い
といったお悩みにつながっていることも多いのです。

つまり、「築25年以上の家=今の基準とは性能が大きく異なる家」
これをしっかり認識したうえで、これからの暮らしをどう整えるかを考えることが大切になります。

では実際に、築25年以上経ったお住まいを見直すとしたら、どんな部分に気をつければいいのでしょうか?

「古いけれど、まだ住めるから…」と、つい見過ごしてしまいがちな部分こそ、実は暮らしの快適さや安全性に大きく関わっています。

ここからは、具体的に見直しておきたいポイントをいくつかご紹介していきます。
まずは、毎日目にしているけれど意外と見落としがちな、「窓」の話からはじめましょう。

まずは「窓」を見直してみましょう

私が一番お伝えしたいのは、住まいの中で「窓」が最も大切な部分だということです。

古いお家では、シングルガラス(単板ガラス)のサッシが使われていることが多く、外気の影響を強く受けるため、夏の暑さや冬の寒さを直接受けてしまいます。

・二重窓(内窓)にする
・樹脂サッシに交換する

こうした窓まわりの改修は断熱効果が高まり、光熱費を抑えられ、健康リスクを減らす意味でも非常に効果的です。

換気の設備はついていますか?

2003年以降に建てられた家には「24時間換気システム」が義務づけられていますが、それ以前の家には設置されていないことがほとんどです。

近年は高気密・高断熱住宅が増えている分、計画的な換気がとても重要になっています。

特にご高齢の方が、石油ファンヒーターなどの燃焼式暖房を使うと、一酸化炭素中毒の危険性もあります。
性能向上と同時に、換気設備の見直しも忘れずに行いましょう。

「我慢する家」から「自分らしく過ごせる家」へ

60代になると、「あと何年住むかわからないし……」と、住まいへの投資にためらいを感じる方もいらっしゃいます。

その結果、「費用を抑えた最低限の修繕」で済ませてしまうケースも少なくありません。
でも、これまで一生懸命働いて、家族のために頑張ってこられたからこそ――
これからの暮らしは、ご自身のために心地よく整えるべき時期ではないでしょうか。

実際、日本人の平均寿命は今や80歳を超えています。
60歳で「もう残りの人生も少ない」と考えるには、まだ早いのかもしれません。
20年、30年と続くこれからの時間を、どんな住まいで過ごすか。
その選択が、日々の快適さや健康にも大きく影響してくるのです。

「お金はあまりかけたくない」というお気持ちの裏には、
「子どもに迷惑をかけたくない」というやさしい思いやりがある方も多いように感じます。
けれど本当に“迷惑をかけない”備えとは、

自分のことを自分でできる「元気で自立した暮らし」を続けられる環境を整えることなのではないでしょうか。

それがきっと、親としても子としても、安心につながるのではないでしょうか。

■これからの暮らしを支える“住まいの再設計”を

「家を直す」のではなく「暮らしを再設計する」
60代以降の家づくりは、そんな視点を持つことが大切だと思います。

築25年以上のお住まいには、たくさんの思い出が詰まっていると思います。
だからこそ、その家でこれからも安心して、快適に暮らしていただけるよう、リフォームだけでなく、「リノベーション」という選択肢も、ぜひ視野に入れてみてください。

私たち太陽ハウジングでは、ただ「建てる」「直す」だけでなく、これからの人生に寄り添う「住まいの再設計」をお手伝いしています。

その第一歩として大切なのが、現在のお住まいの状態を正しく知ること。
建物の構造や断熱・気密、換気、ライフラインの老朽化、家事動線やバリアフリー性など、暮らしの土台となる部分を客観的にチェックできるのが、住宅診断士(ホームインスペクター)です。

太陽ハウジングでは、ホームインスペクターの同席のもと、お住まいの状態とお客さまのご希望をじっくりお伺いしながら、「これからの暮らしに本当に合った住まい方」を一緒に考えるご提案を行っています。

「そろそろ、うちも見直した方がいいのかな?」
そんなふうに感じたときこそが、動き出すタイミングかもしれません。

気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談くださいね。