太陽ハウジングの家づくりコラム

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2025.05.29
【ペットと暮らすご家庭へ】住まいでできる「もしも」の備えとは?
こんにちは、太陽ハウジングです。
太陽ハウジングでは、ご家族みなさまが安心・快適に暮らせる住まいづくりをサポートしています。そのご家族の中には、もちろん「ペット」も含まれます。
ペットも大切な家族の一員。災害が発生した時、私たちと同じように守られるべき存在です。しかし、実際には避難所での受け入れ体制が整っていない場合や、事前の備えが不足していたためにペットと一緒に避難できなかったという声も少なくありません。
いざという時、大切な家族の一員であるペットをどう守るか――今回は、住まいの工夫や日常からできる備えを通じて、ペットとの防災対策についてご紹介します。

■ペットと一緒に避難する「同行避難」が基本
・「同行避難」と「同伴避難」の違いを正しく理解する
災害時には、ペットと一緒に避難所へ向かう「同行避難」が原則とされています。しかし、「同行避難」と「同伴避難」は似ているようで意味が異なります。違いをしっかりと理解しておくことが、防災対策の第一歩です。
・同行避難とは?
同行避難とは、ペットを連れて安全な場所へ避難する行動そのものを指します。避難先が指定避難所であっても、知人宅や宿泊施設であっても、飼い主がペットを連れて危険な場所から離れることが同行避難です。です。
【ポイント】
・移動を伴う避難行動を指す用語であり、避難先の種類は問いません。
・ペットの命を守るため、必ず一緒に行動することが大前提です。
・同伴避難とは?
同伴避難とは、避難所の敷地内でペットを飼養・管理しながら避難生活を送ることを意味します。つまり、「避難所でペットと一緒に過ごす」という状況が「同伴避難」です。
ただし、多くの避難所では、衛生面やアレルギー、動物が苦手な方への配慮から、ペットは屋外の専用スペースや別室での管理となることが一般的です。
【注意点】
・必ずしも飼い主と同じ室内で過ごせるとは限りません。
・実際には「人は人の場所」「ペットはペットの場所」と分けられることがほとんどです。
飼い主とペットが同じ空間で避難できる施設も徐々に増えていますが、まだ一部に限られているのが現状です。
■事前にできる備えが重要
同行避難・同伴避難の違いを理解したうえで、平時からの備えが、ペットと家族の命を守る第一歩になります。以下の3つのポイントを中心に、できるところから対策をはじめてみましょう。
①自治体や近隣の避難所の受け入れ体制を確認する
まず大切なのは、「お住まいの地域の避難所でペットが受け入れ可能かどうか」を事前に確認しておくことです。
現在、多くの自治体ではペットとの同行避難を原則としていますが、避難所内でペットを受け入れるかどうか(=同伴避難の可否)は施設によって異なります。ペット専用スペースの有無や、避難時の条件(狂犬病予防接種やワクチン接種済みであること、ケージ持参など)など、受け入れルールが細かく定められていることも多いです。
お住まいの市区町村のホームページを確認したり、役所に問い合わせて避難所のペット受け入れ方針をチェックしましょう。
②ペットをクレートやキャリーケースに慣れさせておく
災害時の避難では、ペットを安全に、速やかに移動させるために、クレートやキャリーケースは必須です。避難所での滞在中も、ペットはケージやクレートの中で過ごすことが前提となるケースが多いため、日常生活の中で慣れさせておくことがとても重要です。
【慣れさせる工夫の例】
・普段からクレートをベッド代わりに使う
・クレートの中でおやつや食事を与えて、「安心できる場所」にする
・クレートを閉めて短時間のお留守番を練習する
クレートに入ることが「嫌なこと」にならないよう、安心できる居場所として習慣づけることがポイントです。旅行や通院時にも役立つ習慣なので、災害時に限らずおすすめのトレーニングです。

【マメ知識】クレート・キャリーケース・ケージの違い、知っていますか?
防災対策やペットとの避難準備でよく出てくる「クレート」「キャリーケース」「ケージ」。どれもペットを守るための道具ですが、用途に違いがあります。
・クレート
丈夫なハードケースタイプ。災害時の避難や長時間の移動に適しており、航空機輸送にも使えることが多い。ペットを安全に守る「避難箱」として活用できる。
・キャリーケース
持ち運びやすいバッグ型やボックス型。通院や短時間の移動に便利。布製・リュック型も多く、軽くておしゃれなものも。
・ケージ
室内据え置き型の囲い。生活スペースとして使われ、通気性がよく、トイレや寝床をセットできる。持ち運びには不向き。
避難時の備えには、「クレート」が最も適しています。日頃からペットがクレートに慣れていると、避難時にも安心です。
③無駄吠えや噛み癖など、最低限のしつけを行っておく
避難所では多くの人が不安な気持ちで過ごしています。そのため、ペットが大声で吠えたり、他の人や動物に噛みついたりすると、避難先での受け入れが難しくなることもあります。特に、ペットが他人や環境の変化に敏感な場合は、平時からのしつけが欠かせません。
【最低限のしつけの例】
・「ハウス」「おすわり」などの基本指示に従えるようにする
・人や他の犬・猫と接する機会を増やして社会性を養う
・インターホン音や来客時にも落ち着いていられる練習をする
普段は気にならなくても、避難生活では些細な行動が大きなトラブルに繋がることがあります。安心して避難所で過ごせるように、基本的なマナーを身につけることはペットにとっても大切な「防災準備」です。

■家の中に避難スペースを設ける
・「在宅避難」の可能性も想定した住まいの準備を
災害時、必ずしも避難所に移動できるとは限りません。道路の寸断や建物の混雑、あるいはペットの受け入れ体制が整っていないなどの理由から、自宅にとどまって安全を確保しながら過ごす「在宅避難」という選択をせざるを得ない場合もあります。
そのような時に備えて、自宅の中にペットのための「安全な待機スペース」をあらかじめ確保しておくことが非常に重要です。
以下に、在宅避難時に役立つ具体的な準備ポイントをまとめました。
●家具の転倒や落下物のリスクが少ないスペースを選ぶ
地震の際、最も怖いのは家具や家電などの転倒や落下です。ペットがその場にいた場合、思わぬケガを負う可能性があります。
【安全なスペースの条件】
・背の高い家具(本棚、食器棚など)がない場所
・テレビや鏡、額縁など落下の恐れがある物がない壁面
・ペットが逃げ込んで閉じ込められてしまうような狭い隙間のない場所
家具の固定はペットの安全にもつながります。家具転倒防止グッズを活用し、危険を未然に防ぎましょう。
●窓ガラスには飛散防止フィルムを貼っておく
地震や台風でガラスが割れると、細かな破片が飛び散り、ペットの肉球や体を傷つける危険があります。
そこで、ペットがよく過ごす部屋の窓やガラス扉には、飛散防止フィルムの貼付をおすすめします。透明で見た目も損なわず、災害時の安全性が高まります。
ガラスだけでなく、食器棚の扉や室内の間仕切りガラスなどにもフィルムを貼っておくと安心です。
●ケージを設置しやすく、通気性や温度管理がしやすい部屋を確保
在宅避難では、数日間ペットが落ち着いて過ごせる環境を整える必要があります。
そのためにおすすめなのが、以下のような空間です。
・日当たりが良すぎず、エアコンが使える場所(夏の熱中症、冬の寒さ対策)
・ケージやクレートが安定して置ける十分なスペースのある部屋
・近くにトイレや水飲み場を設置できるレイアウト
・音が少なく、外部からの刺激が少ない静かな部屋
ペットが落ち着いて過ごせるよう、普段からその部屋で過ごす習慣をつけておくと、いざという時のストレス軽減につながります。

■災害時に備える「ペット用防災グッズ」を準備
災害時にはペット用品の確保が困難になるため、非常用の備蓄品を日頃から準備しておくことが大切です。
【備えておきたい主なグッズ】
・ペットフードと飲料水(最低5~7日分 ※救援物資到着までの目安期間)
・折りたたみ式の食器
・トイレ用品(ペットシーツ、簡易トイレなど)
・リード・ハーネス・首輪(迷子札付き)
・クレートやキャリーケース
・ワクチン接種証明書、健康記録のコピー
・最近の写真(迷子になった場合に役立つ)
・薬・常備薬(持病がある場合は特に重要)
これらをひとまとめにした「ペット用防災リュック」を玄関や車内など、すぐに持ち出せる場所に保管しておきましょう。
■ペットと暮らす住宅で考えたい「備えの工夫」
・防災と快適性を両立する「住まい設計」の視点
ペットと暮らす家づくりにおいては、「お手入れのしやすさ」や「ニオイ対策」といった日常の快適さだけでなく、災害時の安全性や避難性への配慮もとても重要な要素です。
今回は、防災の視点で取り入れたい内容をご紹介します。
●ペットが自由に移動できる「ペットドア付き建具」
災害時にはペットが一か所に閉じ込められてパニックになることもあります。室内にペット用の小型ドアを設けることで、自由に逃げ場を確保でき、ストレス軽減や二次被害の予防にもつながります。
【特におすすめの設置場所】
・リビングやキッチンの扉
・寝室と廊下をつなぐ扉
・洗面脱衣所など、温度や湿度の管理が必要なエリア
通気性を保ちつつ、ペットの行動範囲を安全にコントロールできる設計が理想です。
●勝手口や玄関に「リードフック」や「キャリー置き場」を確保
災害時には、素早く安全にペットと避難することが求められます。そのため、玄関や勝手口付近に以下の設備を設けておくと安心です。
・リードフック(壁や柱に設置)
出発前の荷物準備中にペットを一時的に固定できます。
・キャリーケースの置き場
あらかじめ避難リュックやケージを収納できるスペースがあると、慌てずに出発できます。
・ペット専用収納棚
防災グッズやフード、シーツなどをすぐ取り出せる場所にまとめておくと便利です。
ペット用品は日用品の中でも「緊急性の高い持ち出し品」として、住宅設計段階から収納や配置を検討することがおすすめです。
●滑りにくく掃除しやすい「耐久性のある床材」を選定
地震や停電時にペットが走り回ってしまうと、滑って転倒したり、爪を傷めることもあります。普段から滑りにくい床材を採用しておくと、ケガ防止にもつながります。
【おすすめの床材】
・クッションフロア(ペット対応タイプ)
・滑り止め機能付きフローリング
・汚れや傷に強い樹脂系タイル材
また、掃除のしやすさや抗菌・消臭性能を持つ床材を選ぶことで、ニオイや衛生面の課題もカバーできます。
トイレスペース周辺など、限定的にペット対応床材を使う部分対応もオススメです。
●太陽光発電+蓄電池で「停電時も安心な電力確保」
災害時、停電が長引くことも想定されます。夏場は熱中症、冬場は低体温症といった環境変化によるペットの健康被害を防ぐためにも、非常時の電力確保は重要です。
・太陽光発電+蓄電池の併用で、冷暖房や換気扇、照明を一定時間稼働可能。
・自動給水器や空気清浄機のバックアップ電源として活用。
・昼間に発電→夜にペットが安心して眠れる環境を維持。
ペットだけでなく、家族全員の避難生活の質も大きく向上する設備です。

■迷子対策も忘れずに
災害時、ペットが驚いて逃げ出すケースは非常に多く報告されています。迷子になったペットが再会できるかどうかは、飼い主の事前準備にかかっています。
【迷子対策チェックポイント】
・首輪に迷子札(飼い主の名前・連絡先)をつける
・マイクロチップを装着し、環境省のデータベース(AIPO)へ登録情報を最新に保つ
・ペットの顔写真・特徴・性格などを記載したカードを用意
・SNSや掲示板など捜索の情報発信手段を確認しておく
「備えておけばよかった」と後悔しないために、今できる準備を始めましょう。
■日常から「もしも」を意識した暮らしを
防災対策は「特別なこと」ではなく、日常の延長線上にある大切な備えです。ペットと暮らすご家庭では、「家族の一員」としてペットを守るための対策を、家づくりや暮らしの中に自然に取り入れていくことが求められます。
太陽ハウジングでは、ペットと安心して暮らせる家づくりのご提案も行っています。
防災も快適さも妥協しない、そんな住まいづくりをお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
住まいと命を守る「もしも」の備え、私たちと一緒に考えてみませんか?